これは「音楽と童話の講座」でも、
お話しすることですが。。
最近本当に「良い絵本」がありません。
マンガみたいな絵や(マンガを馬鹿に
しているのではなく、簡単になっている
から)、イラストレーターがまったく
自分流に描いている絵の本が多いです。
つまりその当時の暮らしや服装、文化が
描かれていないのです。
この本、70年ほど前の凸版出版社の絵本です。
本当に素晴らしいです![]()
何が素晴らしいって、よく見てください。
お話はシンデレラですが、ちゃんとシンデレラは
舞踏会に行くとき、かつらをかぶっています。
そして普段の灰だらけの娘の時は金髪。
シャルル・ペロー版のシンデレラですが、
250年~300年ほど前のフランスの文化が
フランスの台所ってこんなのだったのですね。
シンデレラは家事を済ませた後、ここの暖炉で
寝るから、灰かぶり=シンデレラと呼ばれたのです。
そしてこのシーン。かつらをかぶって王子様と
シンデレラは踊っています。
さらにこの絵の中には、もっともっと当時の文化を
伝えていることがあります。本当に良い絵本です。
音楽ではこんな舞踏会で演奏されていたのが、
皆さまがよくご存じの、バッハの
「ト長調のメヌエット」などです。
♪ト長調のメヌエット
私は自分の娘が生まれたころ、年の離れた姉の
ために買われたこの絵本(おさがりを私がもらい
ました)を、しまい込んでいた押し入れから引っ張り
出し、レッスンに使うようになりました。
なぜなら、生徒の一人、ゆきちゃんがいくら言っても
ト長調のメヌエットを、ものすごいスピードで弾いたから
です。
「もっとゆっくり」といくら言っても、超速い。
そこでこの絵本を出してきて、
こんなドレスで
こんなかつらをかぶって
踊っていたのよ
今みたいにナイロンやジャージみたいな軽い
生地はなくて、綿や絹だからとっても重いの。
だから早く踊れないの。かつらも重いの。
と言いました。するとあんなに言っても
変わらなかったゆきちゃんの演奏が、
ぱっと変わったのです![]()
![]()
とっても嬉しかったです。うそのようでした。
ゆきちゃんはきっと納得し、分かったのです。
だから音楽が変わったのです。
やはり音符だけを教えるのではなく、音楽は
文化、暮らし、国を教えないとうまくならないと
思った瞬間でした。そしてこんな経験から、
「音楽と童話の講座」は生まれました。
最後にこちらの写真。この部分だけ白黒ですが、
これらの写真は全て、お人形で作られ撮られて
何と手間のかかった、素晴らしいことでしょう。
全てお人形を作ったのです。本当にこの絵本は、
お話し以外に文化、暮らし、国を伝えています。
今こんな絵本のないことを、大変悲しく思います。
自分で創りたいくらいです。なぜないんでしょう。
最後にシンデレラの本当の意味、諸説ありますが、
これは亡くなったシンデレラの本当のお母さんが、
娘を守るために魔法使いのおばあさんになって
娘を幸せにするためにやってきた、というお話し
なのです。
私が生徒さんたちにこんなことを教えてきた
結果、生徒の皆さんは歴史、地理、社会を
とても好きになってくれました。
音楽とは歴史でもあるのです。
こんな素晴らしいお人形で作った絵本が、
今ももっとたくさんあったらな、と心から思います。




