離婚係争中で別居している妻と暮らす長男(当時4歳)を約1か月間自宅に連れ去ったとして、未成年者誘拐罪に問われた福岡県内の会社員男性の被告(40歳代)に対し、福岡地裁は5日、懲役1年、執行猶予3年(求刑・懲役1年)の判決を言い渡した。吉野内庸子裁判官は「妻との信頼関係を壊し、家裁による紛争解決も困難にする悪質な犯行」とする一方、子への愛情が動機だった点を酌量。刑の執行は猶予した。
判決によると、被告は昨年8月、県内の商業施設で長男と面会した際、妻から示されていた面会の終了時刻を過ぎても長男を引き渡さずに連れ去り、同9月まで自宅に寝泊まりさせるなどした。
弁護側は「妻が正当な理由なく長男を連れて別居したことが違法で、あるべき状態への回復を図った」と無罪を主張していた。しかし、判決は「家裁などを通じた法的手段を取るべきだ。親権の行使として正当化できない」などとして退けた。