こんにちは。

 ブログ担当の雄一です。今回で八回目のブログとなります。

 私は読書が趣味で、いろいろな本を読むのですが、今日はさいきん読んだ本の中で、気になった本を2つ紹介していきたいと思います。

 まず、この間の芥川賞を受賞して、高瀬隼子『おいしいごはんが食べられますように』です。
 この小説は、とても読みやすいといえば読みやすく、小説と言われなければ、食についてのエッセイかと思うほどの文章です。
 ただ、読んでいくうちに、最初はほのぼのした物語だったのに、どことなく違和感というか、不穏感が描写されて、冷静に読んだら登場人物のひとつひとつの行動は不可解ともいえるのに、それを納得させられるほどのリアリティのある描写におどろかされます。
 あまり普段は小説を読まないという方でもすらすらと読むことができ、ただ、おもしろいと思うかどうかはわりと人を選ぶだろうな、という気がします。
 私自身は途中まではそんなに好きではなかったのですが、いちばん最後の終わり方が、私にはとてもグロテスクであり、しかし人生っていうのはこういうものなのかもな、というリアリティを感じられたので、一気に持っていかれて、好きになりました。
 また、途中で、二谷という人物が、恋人に手料理を作ってもらったあとに、こっそりとカップ麺を食べる描写があるのですが、そこがとても好きでした。
『ずるずると一気に食べてしまいたかったが、芦川さんを起こしたくないので、ちろちろと静かに食べる。片手でスマホをいじりながら、八割ほどを食べてようやく、晩飯を食べた、という気がした。』
 カップ麺に対する以上なこだわり、あるいは、栄養のとれた食事に対する強い嫌悪がある二谷という人物の行動がおもしろく、いろんな人の感想が聞きたくなる小説でした。
 小説をなにか読んでみたいな、でも何を読んだらいいのかわからないな、という人にはおすすめかもしれません。

 二つ目は、坂口恭平&斎藤環『いのっちの手紙』という本です。
 この本はわりと変わっていて、精神科医である斎藤環と、建築家であり作家であり音楽家であり画家であり……などと他にも肩書のある多彩な坂口恭平という人の、往復書簡がまとめられた本です。
 坂口恭平は、いのっちの電話というものを十年近くやっていて、それは自身の電話番号を公開して、死にたくなるほどつらいひとは誰でもかけていいというもので、いわゆる『いのちの電話』をたったひとりでやっているという、普通では考えられないことをやっています。
 斎藤環はそのような活動を興味深く見ていて、二人が交わす会話を読むだけで、自分のこれからの生きていく中でのヒントになるようなことが書いてある気がします。
なかなかめちゃくちゃなことも書いてあるので、あまり真に受けるのも危険かな、とも思いますが、ある種の劇薬としてはいいのかな、と思ったりしています。
 あたらしい価値観に触れたい人にはおすすめできるかな、と思ったりしています。
 それと個人的には、坂口恭平の描いている絵がとても好きで、こちらも本になっているので興味がある人にはぜひ見てほしいです。


 これからも、自分の好きな本についてはときどき紹介していきたいです。もし、読んだことがある人がいたら感想も聞きたいですし、また、こんなおもしろい本があるよ、というのも聞いてみたいです。

 それでは、また。木曜日に。