空き家や廃校の官民連携活用を後押し、「スモールコンセッション」を国交省が推進 | 市民自治ノート - NPOまちぽっとから

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空き家や廃校の官民連携活用を後押し、「スモールコンセッション」を国交省が推進

 

 この問題は詳しく分析しなければならないと思いますが、とりあえず情報のみ提供します(伊藤)。

 

木下 順平 日経クロステック/日経アーキテクチュア 2024.06.26

 

 国土交通省は、自治体が所有する空き家などの小規模不動産の管理や事業運営を民間に委ね、価値向上につなげる「スモールコンセッション」の後押しに乗り出す。2024年6月3日に「スモールコンセッション推進方策」を策定し、導入のための実践ガイドライン作成や手続きの簡素化に取り組む方針を示した。地方で遊休不動産の改修、活用と事業機会の創出が進みそうだ。

 

 コンセッションはPFI(民間資金を活用した社会資本整備)の一種で、自治体が公共施設などの所有権を持ったまま民間事業者に運営権を設定し、管理や事業運営を委ねる方式だ。主に空港や上下水道などの大規模施設、インフラを対象に導入されている。

 

 一方スモールコンセッションは、廃校や古民家などの小規模遊休不動産を対象にし、改修などに伴う事業費が10億円未満程度の案件を指す。コンセッションに限らず、指定管理や賃貸借など、案件に応じて様々な手法を採用し、新規ビジネスの創出やエリアの価値向上を図る。

 

 

 政府は、PFIの新たな分野としてスモールコンセッションを推進する方針を示しているが、そこには多くの課題がある。

 

 PFIの実績やノウハウが少ない自治体は導入に抵抗感を抱えており、民間にとっても参入のハードルが高い。また、PFIでは基礎検討から可能性調査、公募準備、事業者選定など詳細なプロセスを踏む必要があることも、導入への障壁となっている。

 

 

 自治体や民間事業者はスモールコンセッション導入に多くの障壁を抱える。国交省は、人材不足や情報発信、資金調達などの課題解決に向け、ガイドラインを作成する(出所:国土交通省)

 

これらの課題解決に向け、国交省は「スモールコンセッション推進方策」を策定。24年度中に、構想から事業者選定までの一連の流れや、事業契約上の留意事項、行政における分野横断的な組織体制の必要性などを盛り込むガイドラインを作成する。支援制度の一覧や資金調達手法も紹介し、スモールコンセッションの実践を後押しする。

 

また、従来事業選定の際にはVFM(PFI方式が従来の公共事業方式と比べて総事業費をどれだけ削減できるかを示す指標)を参考にするが、簡単な収支比較で検討することを可能にする。これまでは、収支に表れない地域への貢献などは重視されてこなかったが、今後はこうした定性的な評価も参考にする方針だ。合わせて、イベントなどを通した官民のマッチングや情報発信も強化する。

 

 

 「スモールコンセッション推進方策」の概要。制度の普及啓発や手続きの円滑化、官民連携の強化に向けて動き出す(出所:国土交通省)

 

国交省社会資本整備政策課の大西美和官民連携推進官は「空き家や廃校はこれから増えていくが、それを有効活用できればエリア再生のチャンスになる。官民からスモールコンセッションへの関心を集め、地域活性化につなげたい」と話す。

 

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