「珠洲原発があったら…もっと悲惨だった」
能登半島地震で孤立した集落(かつて珠洲原発予定地だった珠洲市高屋町) 住民脱出に10日余 珠洲原発反対を訴えた僧侶の実感
└──── (1月22日「東京新聞」朝刊1面より抜粋)
能登半島地震は22日で発生から3週間になる。被災地では道路が寸断され、多くの集落が孤立した。
かつて「珠洲原発」の予定地だった石川県珠洲市高屋町も孤立。
住民が市外に逃れるのに10日余りを要した。
計画は住民の反対を受けて2003年に凍結されたが、「珠洲原発があったら、避難どころじゃなかった」。
反対運動の中心的存在だった地元の僧侶・塚本真如(まこと)さん(78)が、避難も屋内退避もできない状況を振り返った。(岸本拓也)(中略)
100人ほどが暮らす高屋地区は平地が少なく、住宅は海岸線と急斜面の山との間に並ぶ。集落に通じる道は3方向あるが、すべて土砂崩れで断絶。
海岸線は数メートル隆起し、船も出入りできない状況になった。(中略)
もし高屋に原発が造られていたらー。塚本さんは揺るぎない口調で語った。
「もっと悲惨な状況になっていたやろうな、としか言いようがない。止めて本当に良かった」(中略)
地盤隆起で配管損傷→原発冷却不能の可能性も
原発の避難計画に詳しい環境経済研究所の上岡直見代表は「今回の地震で珠洲原発予定地は地盤が数メートル隆起した。原発があったら、配管などが壊れて冷却が全くできず大事故となり、逃げられない住民は福島原発事故以上に被ばくした可能性は否定はできない」との見方を示す。
孤立集落が相次いだ能登のように国内には半島に位置する原発も多く「四国の伊方原発が象徴的だが、住民避難の観点でもリスクが大きい」
と強調。
「屋内退避など指針の前提も崩れた。真剣に避難を考えるほど、原発は動かせないという結論になる」
≪事故情報編集部≫より
見出しについては、ネット記事の見出しに少し追加しました。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/304267
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元日の北陸を襲った能登半島地震。震度7という激震と津波が大きな被害をもたらしたが、地震直後から大いに気になったのは、震源に近い北陸電力志賀原発(石川県志賀町)だ。
外部電源の一部を喪失し、変圧器からの油漏れや核燃料プールの水漏れなどはあったが、原子力規制委員会は「大きな異常はなし」とする。
しかし、志賀原発は1度、原子炉建屋直下に活断層ありと判定されるなど、いろいろといわくのある原発。今回耐えたから大丈夫と言えるのか。(曽田晋太郎、宮畑譲) (中略)
地元住民に不安をもたらす志賀原発。その来歴はいわく付きだ。
そもそも、石川県能登地方では、志賀原発の建設以前に、より北の珠洲市で関西電力、中部電力、北陸電による「珠洲原発」の建設計画があった。
候補地の一つだった同市高屋町は、今回の震源となった地区と隣接する。
志賀原発の廃炉を求める活動をしている金沢大の五十嵐正博名誉教授は「珠洲原発は住民による根強い反対運動で計画が中止となったが、もし高屋町に建設していたら、大変なことになっていたと思う」と想像する。(中略)
だが、今回の地震は大きな影を落とす。
日本原子力発電敦賀原発(福井県)の断層調査を行った経験がある、
名古屋大減災連携研究センターの鈴木康弘教授は「これほど大きな地震を起こす断層が志賀原発の近くにあるという想定はなかった。この地域でどういう地震が起きるのか、抜本的に見直さなくてはいけない。前提条件が相当変わった」と指摘する。
さらに、能登地方の断層は複雑で、一見、大きな断層と関係がないように見えても、連動する可能性は否定できないという。
鈴木氏は「今回の地震を機にもう一度、点検をさせるのか、新たな規制基準を示すのか。これは原子力規制庁の責任問題だ」と強調する。
(1月5日「東京新聞」朝刊14-15面「こちら特報部」より抜粋)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/300551
△情報提供:竹内憲一(日本地理学会会員)
(たんぽぽ舎メルマガより転載)