「学校の大ピンチ」を救う方策を実現してください。 | 市民自治ノート - NPOまちぽっとから

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 このブログは、NPO法人まちぽっとスタッフの伊藤久雄が書いています。このブログでは、「市民自治」の推進に必要なさまざまな情報や、NPO法人まちぽっとの活動などを発信していきます。

「学校の大ピンチ」を救う方策を実現してください。

 

日本教職員組合が実施した「2023年学校現場の働き方改革に関する意識調査」によると、幼小中高特別支援学校等の教職員の1カ月平均の時間外労働時間は96時間44分(中学校教職員 116時間28分)でした。これは、「過労死ライン」といわれる「月80時間の時間外労働時間」をはるかに超える結果です。「教員の未配置問題」、「精神疾患による病気体職者数の高止まり」、「教職志望者の減少」など、過酷な勤務実態は負の連鎖を生んでいます。

このような状況で、様々な背景をもつ子どもたちを支えることは困難を極めます。今回のキャンペーンでは、「学校の大ピンチ」を救うために、教職員の長時間労働の是正をはじめ今すぐに実効すべき下記の方策の実現に賛同する方を求めています。

①さまざまな背景をもつすべての子どものために、教職員の拡充とスクールカウンセラー等の専門職を配置・拡充してください。

②教員が本来業務に専念するために、「業務の役割分担・適正化」を文部科学省の責任においてすすめてください。また、文部科学省のできる業務削減をすすめてください。

③教員のいのちと健康を守るため「定額働かせ放題」の「給特法」を廃止・抜本的に見直してください。

 

《署名の主催団体》

日本教職員組合

《賛同者・賛同団体》

青木 純一(日本女子体育大学特任教授)

樋口 修資(明星大学名誉教授)

工藤祥子(過労死遺族)

小川正人(東京大学名誉教授•放送大学名誉教授)

尾木直樹(教育評論家、法政大学名誉教授)

西嶋藤彦(部落解放同盟委員長)

大森直樹(東京学芸大学現職教員支援センター機構教授)

せやろがいおじさん(お笑い芸人、YouTuber)

竹田邦明(日本退職教職員協議会会長)

たかまつなな(株式会社 笑下村塾)

北村典子(全国退職女性教職員の会会長)

※順次追加予定

 

【以下、求める方策に関する詳細】

 

全国の教職員の要望をもとにした日本教職員組合のとりくみ

 日本教職員組合は23年7月に全国の教職員の要望をもとに「持続可能な学校のための7つの提言」をまとめました。

現在、中央教育審議会(以下、中教審)「質の高い教師の確保特別部会」では、教職員の過酷な勤務実態や山積する学校の課題について話題とされるものの、現場教職員の求めるこの提言内容には及んでいません。そればかりではなく、「子どものためであればどんな長時間労働も良しとする」という働き方は、教師という職の崇高な使命感から生まれるものであるが、その中で教師が疲弊していくのであれば、それは「子どものため」にならないとした2019年の中教審答申にある「学校の働き方改革」の理念が実現されない可能性が高まっています。そこで、日本教職員組合は、冒頭に示した「学校の大ピンチ」を救う、今すぐにでも実効すべき方策の実現を求めています。

さまざまな背景をもつすべての子どものために教職員の拡充とスクールカウンセラー等の専門職を配置・拡充2023年10月に文部科学省が公表した「令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」の結果によると、22年の小中学校における「長期欠席者数」は46万648人で、前年比で約1割増えています。 このうち「不登校」を理由とする者は約30万人に上ります。児童生徒1000人当たりの不登校児童生徒数は31.7人と前年比2割以上の増加、不登校児童生徒数は10年連続の増加で過去最多となっています。

22年の小中高等学校における「暴力行為発生件数」の合計を見ると、9万5425件で、前年度から2割以上増加しています。特に小学校では3割近く増加しており、過去最多となっています。形態別では、いずれの校種においても最も割合の高い「生徒間暴力」の増加が顕著に表れています。

こうした調査結果に表れているように、学校現場における複雑化・困難化する教育課題に対応するためにも、それをサポートする教職員数の拡充やスクールカウンセラー等の専門職の配置・拡充は喫緊の課題です。

 

教員が本来業務に専念するため

「業務の役割分担・適正化」「業務削減」

 

2019年の中教審答申において、これまで学校・教師が担ってきた代表的な業務の在り方に関する考え方が下記の表のとおり整理されました。

答申には、代表的な業務については、学校や教職員が法的にその全ての責任を負うものではなく、学校への過剰要求は認められないことについて、文部科学省がメッセージを発出することが必要学校が作成する計画等についても、個別の計画を詳細に作成するのではなく、複数の計画を一つにまとめて体系的に作成するなど、文部科学省は真に効果的な計画の在り方について示すべき教育課程の編成・実施においても、総合的な学習の時間の一定割合は、学校外での学習について授業として位置づけられるようにすることや、学習評価において、指導要録の大幅な簡素化などといった、大胆な見直しを行うことが必要との意見が付されるなど、教職員が本来業務に専念できるようにするためにも、「業務の役割分担・適正化」「業務削減」を文部科学省の責任においてすすめることが必要です。

 

「給特法」の廃止・抜本的な見直し

 

教員の長時間勤務の現状は「定額働かせ放題」とも称されます。その大きな要因は公立学校の教育職員の給与や労働条件を定めた「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」(以下、給特法)にあります。給特法では、原則的に時間外勤務命令・休日勤務命令は出せない(時間外勤務手当や休日勤務を支給しない)とする代わりに、給料の月額の4%に相当する額を「教職調整額」として支給することを定めています。

この「給料の月額の4%」は、時間外勤務手当に換算すると、給特法が施行された1971年当時の月平均の時間外勤務時間(月7~8時間分)に相当します。しかし、冒頭に示した調査結果からもわかる通り、時間外勤務時間は給特法の施行当時の10倍以上に膨らんでいます。

さらに、給特法によって、「原則として時間外勤務命令・休日勤務命令は出せない」とされていることから、教員が勤務時間外に行う業務は「自発的勤務」とみなされ、時間外勤務手当が支給されません。これが教員の勤務実態が「定額働かせ放題」と称される所以です。

今後、中教審においても給特法の改正について議論される予定です。日本教職員組合では、教員のいのちと健康を守るためにも、「定額働かせ放題」の現状を生み出している同法の廃止または抜本的見直しが必要であると考えています。

以上のことから、冒頭に示した教職員の長時間労働の是正や「学校の大ピンチ」を救うために今すぐに実効すべき3つの方策の実現を求めます。

 

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