拾った石は隕石なのか、どう判断する? これまで3万個超が地球に飛来 マンションに落ちてきた例も | 市民自治ノート - NPOまちぽっとから

市民自治ノート - NPOまちぽっとから

 このブログは、NPO法人まちぽっと理事の伊藤久雄が書いています。このブログでは、「市民自治」の推進に必要なさまざまな情報や、NPO法人まちぽっとの活動などを発信していきます。

拾った石は隕石なのか、どう判断する? これまで3万個超が地球に飛来 マンションに落ちてきた例も

 

「警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識」その516 ─ 島村英紀さん(地球物理学者)

 

 隕石(いんせき)は、宇宙空間に漂っている岩や塵の破片が地球に落ちてきたものだ。隕石や流星の正体が科学的に理解されてきたのはまだ200年ほどのことだ。

 学者は、「火山の噴火で飛ばされてきた石だ」とか「大気中の成分が固まったものだ」という説明を繰り返した。

 一方、古くから空から飛来する姿が目撃され、その神秘性ゆえ天界の石、神の石など神聖な石として崇拝されてきた。

 

 日本の愛媛県などの神社でも「ご神体」として丁重に扱われてきたほか、イスラム教の聖地カアバ神殿の御神体も隕石だといわれている。

 一旦落ちてしまえばその他の石に紛れてしまいそうな隕石だが、南極の氷河や砂漠に落ちたものは見つけやすい。

 2020年7月に千葉・習志野(ならしの)で大きな音がした。子供のこぶし大の石がマンション2階の廊下に転がっていた。これはもっとも見つけやすい例だ。このときは関東地方の広い範囲で火球が見えた。

 

 いままで地球に落ちてきたことが分かった隕石は3万個を超える。

 隕石には、鉄・ニッケル合金からなる「鉄隕石」、鉄・ニッケル合金とケイ酸塩鉱物からなる「石鉄隕石」、ケイ酸塩を主成分とする「石質隕石」の3種類がある。いずれも隕石であることに変わりはない。

 

 あなたが石を拾って、それが宇宙からやってきた隕石かどうかは、いくつかの特徴から総合的に判断される。

 一見、隕石に似たニセ隕石もあるので、素人にはなかなか区別が難しいのも確かだ。たとえば、鉱石から金属を精錬する際にできるスラグは、しばしば隕石と間違われる。

 そんなときはニッケルが含まれているかどうか確かめればいい。地球上の普通の鉄にはニッケルが含まれていないので、それがあるのなら隕石だと考えられる。

 

 鉄隕石(隕鉄)については、人類に多大な影響を及ぼしたといわれ人類が最初に発見した鉄は隕鉄であったという説がある。

 人類でヒッタイト人が最初に製鉄の技術を持ち鉄剣を作ったといわれるが、その最初の鉄は隕鉄といわれている。

 隕鉄剣や鉄器は世界各地の遺跡からも発見されるがツタンカーメンの王墓から出た剣もヒッタイト製だといわれる。隕鉄剣が出土された中国やインドでも同様に隕鉄剣が見つかっている。

 

 日本でも隕鉄を使った例があり明治天皇に献上された流星刀などがある。

 隕石を一番初めに拾った人がその所有権を得ることができる。

 ただし、それも絶対ではない。

 そこが私有地で、隕石が土地に埋まっていたらその不動産の所有者のものになる。

 さらに学術的に価値が高い隕石ならば、文化財保護法の文化財になる。その場合、公共のためにきちんと保管し、できる限り公開するといった配慮を求められることになる。

 

 (島村英紀さんのHP http://shima3.fc2web.com/

 「島村英紀が書いた『夕刊フジ』のコラム」より 11月4日の記事)

 (たんぽぽ舎メルマガより転載)