「日本鬼子」という言葉がある、中国語で「リーベングイズ」と言って、日本人を示すある種の蔑称らしい。反日運動などではよく使われる言葉であるらしい。

 腹立たしい。だいたい漢民族は自分たちが世界で一番との認識を持つ不遜な連中だが、日本でも中国への蔑視的な言葉に「シナ」というものがあるらしいが、そもそも「シナ」とはフランス語の「シノワ」からきているので、これがいつから蔑視的な言葉となったのかは不明だ。

 それでも漢民族の「漢」という文字も、日常的には「漢字」とか「漢方薬」とかに使われているが、こと人間に関しては「悪漢」とか「痴漢」とか「暴漢」とかマイナスイメージで使われているので、お互いさまかもしれない。

 

 それにしても言語というのは複雑だ。

 同じ漢字を使っている同士でもこれなのだから、英語圏との隔たりはさらに大きい。

 

 「Long Tall  Sally」という曲は、リトル・リチャードのスタンダードナンバーでビートルズもカバーしている名作だが、これが日本で訳されると「のっぽのサリー」となってしまう。なんだか間が抜けていないか?

 

 「Cool Guy」という言葉、クール・ガイと聞けば、イケメンのイカした男を想像するが、これを言葉から見ると変なことになる。

 「Cool」という表現は、「冷たい」「冷酷な」というよりも「スマートでかっこよい」という意味合いで使われる。「ジャパニーズ・クール」なんていう言葉もこの意味合いだ。

 そして、「Guy」、これも男性の意味だが、単に男ならば「Man」でよいわけだし、そこには微妙な意味の差がある。男と言うよりも、日本語では「奴」という感じだろう。「いい奴」「イカした奴」という感じ。

 しかし、この二つを本来の意味通りに合わせると、「Cool Guy」は「冷奴」になってしまう。

 「冷奴」、まさしく「ひややっこ」だ。これでは夏の居酒屋のつまみじゃないか。

 Tシャツのロゴならいいが、万が一勘違いして、こんな言葉を入れ墨でもしようものならば、その外人は一生後悔するだろう。

 

 笑うことなかれ。逆の場合もありうるのだ。言葉にはお互いに気を付けよう。