ネット上での情報発信を戦略的に考えるにあたって、どのような内容の記事、コラム、いわゆる情報が、ネット上で多くヒットしているのかを調査してみた。

 数多くヒットするということは、多くの人々に読まれているということで、さらには多くの人々(これは匿名性を有する人々ということだが、、)が、どのような記事を読みたがっているのか、どのような情報を求めているのかということに他ならない。

 

 さて、それらのものは以下の3つのタイプに集約していた。

 

1)他人の不幸や失敗をあげつらうもの、または他者の置かれた悲惨な状況を描き出したもの

 芸能人やスポーツ選手が麻薬などで逮捕されたり破産したり、政治家の不祥事、またはワーキンプアの悲惨な状況(よくSPAなどで記事にされているようなやつ)

 さらには他人の不都合や不正を告発するといったもの。(これも純粋な正義感からではなく、単なる足の引っ張り合いのレベル)

 

2)どうしたら自分が得をするのか、またはモテるのか、金が儲かるのかといった陳腐なハウツウを紹介したもの

 「女子力アップのための秘訣7カ条」とか「資産運用に差が出る隠れたポイント」とか「絶対に失敗しないダイエット術」とか「40歳からの魅力的な不倫のノウハウ」とか、個人の欲望を即物的に満たすためのハウツウである。

 

3)他の人々の考えや行動がどうなっているのか、その基準やデータを示すもの

 「今年のクリスマスはインドア派が大多数」とか「転職を考えるときに誰もが気にするポイントベスト10」とか「ライフスタイルで見る、あなたはマイホームローン派、それとも賃貸住宅派」とか、そんなに世間一般の目、さらには世間で言われるところの常識、普通の基準が気になるとでもいうのか?

 

 1)から3)までをまとめると、多くの人々が求めているポイントとは。

 自らの身勝手な欲望は全開、それでいて絶えず人の目を気にして、そこそこKYでない安全地帯から他者の不幸を喜び、うまくいっている連中を妬むルサンチマンに満ちている。

 

 これって「最悪な人間」じゃないか。

 しかし、この最悪な人々、まさに大多数の人々が人間付き合いを避けたいような人物像こそが、現代日本社会における典型的な人物像(特にネットという匿名性の高い磁場において)であるのだ。

 

 暗澹たる気分になるではないか。こんな大多数の有権者に対して、ネットでアピールしていかなければいけないなんて。

 これじゃ、よくよく現状を詳細に検討しなおしてから、大規模なネット上の発信を計画しないと、それこそ大変なことになるだろう。