今度の新宿区議会第3回定例会の一般質問で、防災備蓄物資に関することを取り上げようと思う。


 このテーマは、大災害に際しての危機管理一般に関連することであるが、どのように効率的な計画が成されているのかを確認することは大切であろう。


 それにしても、本当の大災害に際しては、あらかじめシュミレーションしていることと実際の現場で成し得ることには、大きなかい離が生じるのは致し方ないことだ。

 肝心なことは、いかに変化する状況に適切に対応しながら、現場レベルでの正しい判断がなされるかだろう。

 そのためには、数字的なことや手順的なことよりも、現場対応のマニュアル、さらには優先順位の確認などの方が大切になってくる。


 よく「災害時には区民の3日分の食料、水を確保」などという歌い文句があるが、これも実際にはあまり意味をなさない数字だ。

 そもそも災害でパニックになっている時に、どのようにして新宿区民であるかないかを判別するのだろうか、そしてそもそも新宿区民でないからと言って、現場レベルで差別することが可能であろうか。


 日本人は、あらかじめ何事も決めておくことが好きだし、そのような問題に関する議論も好きだ。

 たぶん、9月の決算特別委員会では、「災害時の帰宅困難者対策」なんていうテーマで議論が盛り上がるのだろう。

 私が区議会に初当選した20年近く前から、同様のテーマでの議論が行われていた。しかし先の東日本大震災の時、はたして議論された通りに帰宅困難者対策がなされたとは言い難い。

 本来開放すべき区有施設が閉鎖されていたり(ここでは具体的な事例をあげて批判することは差し控えたい)、様々な情報伝達が混乱したりと、かなりの不具合が生じたのだ。

 これでは長年にわたって議論してきたことが無意味ということにもなろう。

 だから、私は二度とこのテーマでの議論に参加したくはない。


 当たり前の話であるが、「決めること」と「実行すること」とは次元が異なるのだ。


 これが認識されないのであれば、太平洋戦争時の本土空襲に備えて、必死で「バケツ・リレー」の訓練をしていた時代と、たいして変わらない状況とも言える。

 なんとも滑稽ではないか。