この間は、タダで堪能できる富士山の景色の話を書いたが、何も旅はどこか遠くに出かけるだけではなく、私たちの毎日の日常生活、まさ身近な場所にも存在するのだ。
そして、普段はこの場所で生活していると見過ごされてしまいがちだが、東京の街はここを訪れる人々にとっては、最大にして最高の観光地なのだ。
下町に出かけた。
台東区谷中にある「朝倉彫塑館」が耐震補強工事が終了して、再び公開されているというので観に行った。
朝倉文夫は、戦前からの日本を代表する彫刻家で、多くの有名な作品(たとえば早稲田大学のシンボルとなっている大隈重信像なども彼の作品である)を残している。
彼の住居をそのまま美術館にしたものだが、展示されている作品も素晴らしいが(特に猫のブロンズ像のシリーズが私は好きだ)、この建築が最高なのである。それは意匠から中庭から、置かれている調度品にいたるまで素晴らしい。
帰りはぶらぶらと谷中の街を散策した。
これが「夕やけだんだん」と呼ばれる商店街の入り口に位置する階段。
JRの宣伝ポスター(ここでは女子大生風の若い女性がjコロッケか何かを頬張っている)のように、メンチカツを一つ買って、食べながらゆっくりとこの階段をのぼった。
このメンチカツでさえ、数百円の品物だ。
階段の手前にある商店に去年の暮から貼ってあった、私の「走れ、のづケン」のポスターが剥がされていたのは残念だったが、夕方の散策気分としては、まずまずのものだった。