子供の世界を書いているシリーズであるが、本編と同時に自分の子供時代の思い出をエピソードとして付け加えていきたい。

 最近、よく子供の時代の事を思い出す。ついに私も歳を取ったということか。

 エピソードを付け加えるというのも、最近観たスターウォーズ・エピソード7の影響か?

 それにしても、所々でエピソードが書き加えられた方が、全体としての文章の厚みも増すというものだ。


 それでは、最初のエピソード。

 子供は何でもコレクションをするという話を書いた。

 私も御多分にもれずに、いろいろなガラクタを集めていたのだ。小学生の頃だ。

 いろいろな形の貝殻とか、シールとか、プラモデルとか、どれもくだらないものだ。

 幸いといってよいのだろうか、私の家は裕福で両親も甘かった(一般には厳しいのだが、こういうことについては甘いのだった)

 私は何でも買ってもらえたし、いろいろなものを喜んで集めていったのだ。といってもしょせんは子供が集めるものなどは、その金額たるやたいしたものではない。


 その中でも、もっとも熱心にコレクションしていたのは、当時子供の世界では流行っていた「仮面ライダー」のカードというものだった。

スナック菓子を買うと、おまけに「仮面ライダー」のカードが付いてくるというやつだ。

 どんなカードが入っているかは、買ってみないとわからない仕組みだ。その中にはレアなカードも含まれている。当然、誰もがレアなカードを追い求めているのだ。

 たしか一つ50円か100円のやつだった。それが50個か100個で、1ユニットで5000円だったような気がする。それをいくつも買っていったのだ。

 毎週のように買っていくので、カードはともかくスナック菓子は大量に段ボールが積み上がるようにたまっていった。それを校舎の裏庭に積み上げていったので、ついに先生にばれて大変な騒ぎになった。大量のスナック菓子を始末することもできずに、結局は生徒に配ったというてんまつだ。犯人が私だと見つからなくて幸いだった。

 というわけで、私は大量の仮面ライダーカードをコレクションしていたのだ。

 幼い子ども心に満足だった。周りの子供は私がコレクションしたレアなカードを羨望の眼差しで見つめていた。アホな話だ。


 しかし、私はある時に気が付いた。自分の手にある大量のカードは、実はガラクタではないのだろうか?

 ついに気が付いてしまったのだ。ある雨の強く降るけだるい午後だった。

 私は手元にある貴重なカード(当時の子供にとってはだけど、、)は、まさにガラクタに変貌したのだ。

 私はそのカードを一枚一枚破って捨てていった。

 そして、ふっと思い、せっかくのカードだ、誰か親しい友人にあげようと思った。たまに遊ぶ程度の友人(私には親しい友人は少なかったのだ)に、その大量のカードをプレゼントしたのだ。

 彼は目を丸くして驚いだ。いったい何が起こったのだろうかという顔をしていた。彼は狂ったように喜んだ。とても嬉しかったのだろう。はたして彼が手元の大量の仮面ライダーカードについて、実はガラクタであったと気が付くのはいつだったろうか。


 この経験から以降は、私は何かをコレクションするということはなくなった。


 しかし、唯一の例外は「レコード」だった。

 中学から高校時代にかけて、私はレコードを買い集めた。

 これはコレクションというよりも、実際に音楽を聴くためのものだから、その物自体に有効性があるものなのだ。

 大量に買い集められたレコード、これにはロックからクラシックまで多岐にわたっていた。

 これについては両親は金を惜しむことは全くなかった。

 2000枚以上のレコードを買った。かなりのコレクションだっただろう。

 私は、いつか歳をとって体が動かなくなり、ついには引退して暇になったら、ゆっくりとコレクションをしたレコードを鑑賞しながら時間を過ごそうと思ったのだ。とてもまっとうな考えだろう。


 そして時代は移った。私が20代になった時に、CDというものが生まれたのだ。レコードよりもはるかに音質が良く安定した物質。これには驚いた。大きなショックを受けた。

 しかし私はこの時に、レコードに取って変わられたCDを集めようとは思わなかった。そんな気にはならなかったのだ。聞きたいアルバムだけをCDで買ったくらいだ。


 そして、それから数十年、現在ではCDを買うなんていう人はもういない。あの時点でCDをコレクションしなかったことは、まさに正解だったのだ。


 これが私の原体験だ。