「悪童日記」   アダゴ・クリストフ著   堀茂樹訳   早川書房


 久しぶりに面白い本を読んだ。たぶん映画化とかで、再版された文庫本が店頭に並んでいたのを、ふとしたきっかけで手にしたものだ。

 タイトルが「悪童日記」となっているが、ここで描かれている2人の少年の思考や行動は、いわゆる「不良」のものではないし、ましてや「スタンド・バイ・ミー」に出てくるような陳腐なヒューマニズでもない。


 クールで知的なのだ。冷徹にして人間らしい優しさもある。


 私自身の子供の頃の価値観とも重なる。だから共感もある。

 それにしても、彼らは私の少年時代なんかよりも、より徹底していて完璧だ。

 それも戦時中という極限状態に日常生活が流れていたような時代背景のためだろうか。