「リキッド・モダニティを読みとく」   ジグムント・バウマン著  酒井邦秀訳   ちくま学芸文庫



 とにかく面白いの一言。現代社会の特徴的なる要素を、斬新な切り口で語りつくしている。


 「リキッド・モダニティ」とは、文字通り「液状化した近代」ということだが、それはまさしく私たちが生きる「現代」に他ならない。

 近代は過ぎ去りつつも、まだ新しい現代の様相は完全には立ち現れてはいない。今とは、そんな時代なのだ。

 近代は過ぎ去りつつあるといっても、私たちの社会は近代の生み出した価値観をベースに成立しているのも事実である。その近代的な価値観、たとえば民主主義、人権、科学信仰などは、私たちの社会では疑いようもない自明の価値である。


 では、どこから近代社会は綻びはじめているのだろうか。


 近代とは、まさに「近い時代」であるのだ。