「山窩奇談」   三角寛著   河出文庫


 異形の民として、かつての日本に存在していた「サンカ」にまつわる逸話やエピソードを綴った一冊。

 この作品自体が、すでに半世紀くらい前のものなので、現代の日本人にとっては「にわかには信じがたい話」が多いが、これは極端に興味本位に歪曲されたものではなく、ある程度は時代の真実によったものなのだろう。


 とにかく面白い一冊だ。


 ちなみに「サンカ」の文字は、ワードでも出てこない。それだけ過去の遺物として忘れ去られようとしているのか。それにしても今、この本が復刻されて、本屋の店頭に堂々と並んでいるというのはどうしたことか。