ビットコインに関するニュースが駆け巡っている。今日の朝日新聞では、「ビットコイン」と「通貨」、そしてさらには「証券」や「商品」(金、穀物など)とを比較して、その危うさを指摘している。


 皆さんの中には、「よくまぁ、こんなものに引っかかるものだ」と呆れる方々も多いと思う。

 まず私は、この類の胡散臭いものにはかかわらない。

 では、ビットコインに引っかからない人々は、本当の意味で賢明であるのか?

 

 ここでよく考えて欲しい。


 現在の通貨とは何か?

 現在の証券の状況はどうなっているのか?


 通貨とは国家(正確にはその国にある中央銀行だが、そして実はこの点が重要な点のだが、、)が発行するもので、そこには国家の信用が付与されている。

 怪しい国家や経済的に破綻寸前の国家は信用が薄く、そのためにその国の通貨には信用がない。

 逆に経済的にも政治的にも安定している国家の通貨は、全世界的にも高い信用がある。

 現実的には、ドル、ユーロ、円の3つの通貨が国際的にメジャーであるが、その中でもアメリカのドルは一番の安心感があり、ゆえに世界の基準通貨としての地位を有しているのだ。


 しかもかつてのドルは金の裏付けがある兌換紙幣であった。しかし1970年代のニクソンの時代に、この金への兌換はなくなった。

 その時から、ドルは完全に信用の通貨となったわけだが、アメリカの国際的プレゼンスは冷戦終結後も高く、現在までこの状況は続いているわけである。


 さて、通貨も信用という点では絶対なものではない。昨今のソブリンリスクが示すように、世界的に中央銀行の発行する通貨の希薄化が人々の不安の根底に潜んでいる。そんな時代なのだ。

 それでは証券はどうか。証券は国家の制約を受けない、あくまでも民間の(原則的にだが、、)金融資産ともいえるが、数年前から日本では証券の電子化が始まり、現物の株券によるものは消滅してしまった。

 もう株券を手にすることはなく、あくまでも証券会社の口座に存在するだけである。


 それでは、モノはどうか。たとえば金(GOLD)はどうか?

 さすがに、この金は金でしかなく、架空でも仮想でもない。現実の金の実物なのだ。


 ここまで書いてきて、賢明な諸君は、何が一番安全で信頼性があるのか理解できたと思う。


 確かなものは、現物しかないのだ。

 ビットコインも、電子マネーも、通貨も、その信用性という点では、程度の問題(その程度の差には莫大な差があるのだが)でしかないのである。


 それにしても、朝日新聞の記事の書き方はおかしい。先ほど書いたように、その記事の中ではビッドコイン、通貨、証券、商品をそれぞれ比較して論じているが、なぜか「商品」に関する記述は、「モノ」や「商品」と書かれておらず、不思議なことに「商品先物」と書かれている。

 「モノ」たとえば「金」という記述と、「商品先物」という記述では、何と人々に与えるイメージがどんなに異なることか。

 しかも表現として発行主体としての記述では、通貨は「中央銀行」、証券は「企業」、ビットコインは「発行主体はなし」に並べて、商品も「発行主体はなし」とされている。

 おかしな話だ。そもそも金(GOLD)などの現物に、発行主体などあるはずはない。


 金は金なのだ。

 そもそも日本語で「money」とは、どのように表記されるのか。

 当たり前のことだが、「お金」である。