トレードにあたって、分析しない、予想しない、そのことが成功するトレードの秘訣であると前回は書いたが、それではめちゃくちゃ、支離滅裂なトレードをすればよいのかと思われる方も多いと思う。


 私はトレードをする際に、様々な分析や予想のための知識を学ぶことがまったくの無意味であると言いたいのではない。

 適切な知識や指標を読み取る能力は大切である。特にテクニカル分析を軸にする場合はなおさらである。

 分野や予想が良くないのではなく、それにとらわれ過ぎることが良くないのだ。


 トレードを行う際に使われる指標や分析方法には様々なものがある。

 移動平均線を使う場合もあれば、相対力指数を使う場合もあるだろう。

 出来高や取組高、または信用買い残や売り残などの内部要因に注目することもあるだろう。

 それこそ数限りない指標や分析方法が存在するのだ。


 多くのトレーダーは、ある程度トレードに関して勉強すれば、その大部分について理解を深めることであろう。何しろ自分の大切なお金がかかっているのだから、誰もが真剣に学んでいくだろう。


 そしてこれらの指標や分析方法のうちで、いくつかのものを採用してトレードを仕掛ける。

 そこまでは良い。

 しかし、もし自分のトレードが逆行(含み損をかかえる)た時に、指標や分析方法に過度に頼っていると、どうしても他の指標や分析方法が目に入らなくなる。

 自分のトレード(すでに多額の含み損を生み出しているのだが、、)を正当化するような指標や分析方法にのみ目が向いてしまうのだ。

 明らかに自分の思惑が外れている事態になっても、己が固執した方法にこだわってしまい、なかなか損切をすることができなくなる。


 トレードに限らず、仕事でも恋愛でも苦労して手掛けたものには、ことさら強い愛着が湧くのは人間の常である。ましてや自分のお金をかけて、正しいと信じたものには強いこだわりが生じるものだ。

 これは頭では理解できても、なかなか乗り越えられない心理的な障壁なのだ。

 ここに大きな罠が潜んでいるのだ。


 実人生では逆のことがトレードでは起こる。

 実人生では、その時その時でフラフラするようりも、自分の将来を深く分析して、成功のために必要なことを学び精進することが大切である。

 受験勉強にしても、そうだ。参考書や勉強方法をあれこれ変えるよりも、きちんと正しい道を選択してコツコツ頑張った方が実が多い。