久しぶりに素晴らしい書物に出会った。ポルトガルの詩人の書いた散文集だ。


 「不穏の書、断章」  フェルナンド・ペソア著  澤田直訳  平凡社


 彼が語る「倦怠」「郷愁」「夢想」、そして架空の日常、日々の営みから湧き出でるイメージの数々、思わず自分自身の記憶の世界を旅してしまいそうになる。

 不思議な作品だ。

 まとまりがなく、イメージが分散しているようで、感覚の部分で奇妙な統一的な世界を形成している。


 彼は生前は文学的な名声に恵まれず、死後に多くの作品が見いだされてと言われている。




 「人生は意図せずに始められてしまった実験旅行である」