現在の経済状況、その仕組みを理解したとして、株式を購入するのが正解、それはわかった。 この話は、あくまでも現状の分析、個人の行動における一つの指針としては良いのだが、それは政治家の意見としてはどうか。それぞれの個人がうまく立ち回ることではなく、日本の国、その経済をどのように考えるのかを述べるのが政治家ではないか。

 このような意見をいただいたので、あらためて私の見解を述べてみたい。


 基本的な事実、現実的な話として、何よりも「需要」がない。このことをまず確認したい。


 簡単な言葉で言うならば、もう誰も「買いたいもの」「欲しいもの」などないのだ。

 私自身についても、そうだ。お金を出してまで、欲しいものなどはない。

 そりゃ、ベンツにしても、アルマーニのスーツにしても、ハワイのコンドミニアムにしても、ただでくれるというのならば貰いたいものだが、そのために稼いで貯金してまで欲しいかといったら、欲しくはないと言わざるをえない。


 それならばサービスはどうか。高級旅館に泊まったり、一流の料亭で食事をしたりするよりも、海外にでも遊びに行ってお金を使った方が良いと思う。

 ここでも同じスタンスだ。高級旅館も一流レストランも良いが、わざわざ高いお金を出してまで楽しみたいとは思わないのだ。


 つまり「お金に見合った消費」「お金に見合った需要」がないのだ。


 特にサービスの分野。商品に関しては円高の影響もあってか、かなりの部分で価格破壊が行われているが、サービスの分野においては、まだまだ国内の価格は高いままであろう。

 もっと効率化を図るなり、規制緩和を推進するなり、この部分の需要と供給のバランスを取る方向で国全体が動いていかなければならない。


 安倍首相は日本の観光立国を声高に叫んでいるが、この部分(サービス分野での割高感)が解決されないと、いくらソフトの面で「おもてなし」だの何だの言っても、世界から人々は日本に遊ぶには来ないだろう。

 年間1000万人の旅行者を目標としているが、お隣の韓国ではこの目標はとうの昔に突破している。世界からみて日本より韓国の方が、同じお金を使うのならより魅力的な国という事実を受け止めなければならない。