大晦日の一日、ゆっくりと自宅でNHKのニュース番組を見ていた。神奈川県で強盗が頻発しているとかなんとかの殺伐としたニュースの後、東京消防庁からのお知らせを報道するニュースがあった。


 年末年始の期間、お年寄りが餅を喉に詰まらせて死亡する事故が相次いでいるので、注意を呼びかけるという内容だった。

 何とまあ、のどかな話ではないか。餅を喉に詰まらせるかどうかなどは、まさに個人の、家庭の問題であり、公共放送が公の電波を使って注意を喚起するような話ではない。

 そんな事までも、行政が気をかけなければいけないなんて、日本は不思議な国だ。

 その後で流されたニュースが、アフリカの地の内戦が終結めどが立たないとかいう、きわめて現実的で悲惨な話題だったので、よけいに日本の社会の特異性を感じてしまった。


 だいぶ物騒な世の中になってきたけど、日本はまだまだ平和で安心な国だ。日本全国で殺人によって死ぬ人々は、ニューヨーク市やシカゴ市での犠牲者よりも少ないというデータがある。

 それほどまでに殺人の犠牲者は日本においては少ない。ほとんどぶち当たらないという確率だ。

 しかしこの確率(殺人で殺される確率)よりも、さらに低い確率が存在する。

 それは年末ジャンボ宝くじに当選する確率だ。殺人で殺されるよりも数十倍の当たりにくさらしい。