今朝、駅前で活動をしていたら、ある男に声をかけられた。年の頃は30歳代後半といったところか。


 男いわく、「のづさん、この駅前の駐輪場にどれだけ多くのママチャリがあるか知っていますか?」。


 私は一瞬、何のことかわからずにいたが、ママチャリ=子供をのせる自転車というイメージから、「そうですね、朝の忙しい時なんか特にそうですけど、あれは本当に歩行者にとっても乗っている子供にとっても危険ですね。東京都は二人乗り、三人乗りのルールを緩和してますが、やはり自転車利用にはマナーも必要いですし、何よりも自転車レーンの整備も大切です」と答えた。


 するとその男は憮然とした顔つきで、「何を言っているのだ!」と言わんばかりに敵意の表情を表わした。私はますます何のことだかわからずに、「世の中には変な奴もいるものだ」と思った。


 このことをある知人に話すと、その人は「ママチャリが多いということは、自転車事故の危険や駐輪場や自転車レーンなどの不整備に注文を出しているのではなく、それだけ働くお母さんが多いということで、子育て支援策を充実させろ」という意味だと説明してくれた。


 普段から私が接する人々との会話に登場する「ママチャリ」というワードは、ママチャリに子供を乗せたお母さんがせわしなく自転車を運転していて、そのあり方が大変危険で心配だという意見に関連して語られることが多い。

 私には子供がいないせいか、ママチャリに子供を乗せて自転車を運転する側の立場に立って物事をみることができなかったのだ。


 「ママチャリが多い」という言い回しで、これほどまでに捉え方の違いがあるとは思わなかった。多くの人々のニーズを的確に把握することは、とても難しいものだ。