「死ぬ瞬間」(死とその過程について)、「死、それは成長の最終段階」

 E・キューブラー・ロス著  鈴木晶訳  中公文庫


 1960年代から注目され始めたターミナル・ケアのキューブラー・ロスの代表作。



 死から目を背けて、自分はあたかも死なないように生きていると、やるべきことを先延ばしにする無意味な人生を送ってしまうことになりかねない。

 現代社会は、特に死から目を背け、無意識のうちに死をあたかも存在しないようにしている。

 これが味気ない生の根本的な原因ではないかと、問いかけている。


 これは何も死に限らない。別れや加齢など、私たちが生きる上でぶち当たる多くの困難に共通している。


 けっして暗い本ではない。むしろ読後にさわやかな希望が感じられる作品だ。