以前にも触れたテーマだけれど、日本の貿易収支が劇的に悪化している。いまだに多くの人々は、社会科の授業で習ったような「日本は貿易立国です、世界に製品を売ることでお金を稼いでいます」という状況を変わることなく信じているのだろうが、現実は違ってきている。

 ここ数年、輸出と輸入のバランスが著しく悪化しているのだ。東日本大震災以降のことだから、これは震災による特殊要因とタカをくくっていた者も、だんだんと現実の事態を直視せざるをえなくなっている。

 収支のバランスは、対アメリカはまあまあ、対EUは良くなく、対中国は最悪だ。


 貿易収支が赤字でも、資本収支の大幅なプラスがあるから、経常収支としては黒字であり、まだまだ日本は安泰であるとかいう議論もあるが、このままの傾向のもと時間が過ぎると、いずれは形状収支も赤字に転落していくだろうことは目に見えている。


 円高によって輸出が激減しているのか。いや、そうでもない。確かに工場の海外移転や為替の影響で輸出の伸び悩みもあるだろう。しかし大きな要因は輸入の大幅な伸びなのだ。要するに海外からモノを買い過ぎなのだ。(多くは中国などからの安い製品がなだれ込んだことによる、また原発停止の影響でエネルギーの輸入が増大したこともあるだろう)

 安いからと言って、必要のないモノ、質の悪いモノを、しこたま買い過ぎなのだ。モノも買い過ぎ、エネルギーも買い過ぎ、そして使い過ぎなのだ。


 手元に小金があるからといって、スーパーでわけもなく不必要な買い物をすることと同じ悪害だと思う。


 もっともっと、個人は生活において、社会は活動において、とりわけモノに関しては縮小均衡していく時期にきているのではないだろうか。

 大切なことは産業構造の高度付加価値化であって、チープなガラクタを買い込んで、安っぽい満足感にひたっていることではないだろう。


 日本人はここで生産者の視点ではなく、消費者の視点から社会全体の消費を見直していくべき時ではないか。


 とにかくモノが過剰なのだから、みんな一旦立ち止まって消費を考え直そう!