「127時間」という映画を観た。極限の状況での人間の意識について描いたものだが、まあ面白い作品の部類に入るだろう。


 極限の時間といっても瞬間的なパニックとか緊迫感とかではなく、静かな時間のうちに精神が緊張に浸食されていくというものだ。


 この作品を観て、改めて人が描くイメージというものが、極限状況においては重要な役割を果たすのだということか。

 世の中のすべての事、人生のすべての事は、その人のイメージの中にしかない。


 こんな映画の話だけでは、しょうがないので、対極的な映画について。


 「卒業」、言わずと知れた、ダスティン・ホフマンとキャサリン・ロスの若き日の作品。ほとんどメジャーな青春映画の代表作みたいなものだ。

 つい最近、友人にこの映画について話をした。ぜひ子供と一緒に見てほしいと。何も極限状況ではない、客観的に眺めるならば、どこにでもありそうなドラマだ。

 しかし登場人物、その当事者にとっては極限状態の精神状況なのだ。だから感情移入できる映画にもなる。若い頃、私は本当にダスティン・ホフマンに感情移入したものだ。

 いつだって、「エレーン!」と叫びたかったものだ。


 さて、この映画、音楽が最高に良い。その時の気分でどの曲が最も心に響くのか?


 「サウンド・オブ・サイレンス」か

 「ミセス・ロビンソン」か

 「スカボロー・フェア」か


 三曲とも傑作(マスターピース)だ。