現代社会は競争原理が強く意識される社会と言われる。自由競争の中にあって、頑張って勝てば良し、怠けて負ければダメということが一般的になっている。


 極端な話、他者を蹴落としても自分が勝ち抜いていく。そんなシビアな現実を常に受け止めてないと、文字通り「世間からホウキで掃き捨てられる存在」になってしまう。こんな考えが蔓延しているが、果たしてこれは真実であろうか?

 競争原理だけではなく、共存共栄という道は存在しないのだろうか。なんとも安っぽいテレビドラマのような意見だが、私は人生の大部分は競争ではなく共存共栄でいく方が正しいような気もする。


 受験競争の最中にある者にとっては、「何をバカなことを!、誰かが落ちるから自分が合格するのだ」と反論されるかもしれない。また就職活動にしても同じだ。私がかかわっている「選挙」などは、さらにその意味合いが強いだろう。


 しかし、本当にそうだろうか?


 受験にしろ、就職活動にしろ、選挙にしろ、本当の意味で「他者を蹴落として自分の席を獲得する」という競争原理が作用するのは、どれも勝ち・負けのボーダーラインに位置する連中の話なのだ。

 合格間違いなし、採用間違いなし、当選間違いなしの位置にいる者にとっては、醜くいがみ合う競争原理などは関係ない話なのだ。むしろさらなる目標に向かっての共存共栄の方が重要なのだ。

 ボーダーラインで四苦八苦している者たちにとってのみ、相手を蹴落としての競争で勝ち抜くことが死活問題となってくるのだ。


 そう、そんなボーダーライン、実力不相応の戦いであたふたしていること自体が誤りなのだ。物事は焦ってはいけない。醜く争う前に、不動の実力を培っていくことが大切だ。

 それこそが、真の勝者と言えよう。