よく関係者から、のづさんの文章は政治関係のことよりも、お金や経済についてのことの記述が多いと指摘される。「そんなにお金が好きなのか?」と。

 お金は嫌いではないが、愛していない。


 この世の中、誰もが「金、金」といって目の色をかえている現状があるから、話としてお金について語ることが多いのだ。

 しかしお金とは、私たちの社会の生み出した最大級の共同幻想にすぎない。きわめてバーチャルなものなのだ。偉大なる幻想。

 かつての古代社会における原始的な神と同列のものでしかない。早く多くの人々がこの事実に気づくべきだ。


 そこそこの生活が営めるだけのお金があれば充分である。何も政治家としての偽善でいっているのではない。真実だからだ。


 「金、金、金」と追い求める人々には腹が立つ。なぜ社会の共同幻想を他人にまで押しつけるのか。


 私は十数年前に初めて議員に当選した時から、「みかん一つ貰わない政治家」を実践してきた。これは一切の利権や賄賂(きわめて儀礼的なささいなものも含めて)をかたくなに拒否してきたということだ。

 何も清廉潔白、完全クリーンな模範生を目指してきたわけではない。金にどうこうからむ連中と人間付き合いすることが苦痛だったからだ。

 その手の不正やしがらみで金を稼ごうとする連中とは付き合いたくないのだ。そんなに金を追い求めるのならば、正々堂々とマーケットからトレードで稼げばよい。税金も源泉分離課税なので、より有利ではないか。


 勘違いしないでほしい。清潔な性格、曲がったことが嫌いな正義感からではない。本当に生理的に「金、金」の人間とは肌が合わないだけだ。

 なぜならば、お金とは現代社会において、きわめて精巧に創造されたバーチャルな罠だからだ。