「円」という通貨の棄損について以前のブログで書いた。通貨の棄損とは実は日本の円だけではない。

 いち早くアメリカのドルや欧州のユーロなどの通貨の棄損は進行していた。日本の円はまだ頑張っていたくらいだ。だから昨年までは、あんなにまでも急激な円高が進んでいったのだ。

 各国政府、中央銀行の通貨が棄損して、その実質的な価値を失っていくという状況は、実は現在進行形で全世界的に進行している現象なのだ。

 古くさかのぼれば、1971年のニクソンショック(アメリカがドルの金への兌換を停止した)からスタートしている。長い長い経済の道のりなのだ。


 その果てには、何があるのか?

 

 貨幣の価値が低下すれば、相対的に価値を増すのは、実物(つまりはモノ)ということになる。

 これには食糧、原材料、エネルギー、土地、つまりは貨幣のようにバーチャルでない実物である。

 すでに全世界の人口爆発により予想されている資源難、食糧難から、じわじわと実物の値は上昇している。デフレ危機とかいって、モノの値段が低下しているのは日本だけだ。これも単に円高の恩恵でしかない。当たり前のことだが、日本国内に大油田が発掘されたとか、農業収穫率は10倍になったとかの話ではない。


 それでは、モノの代表格とは何か?  「金」である。金といっても、お金ではない。ゴールドである。

 みなさんの街に、「金、プラチナ買います」の店舗は増えていないだろうか。なぜお店が盛んに金を買い取るのだろうか。それは値段が将来にわたって、ほぼ確実に寝上がると見越しているからだ。


 ゴールドの値段は1グラムあたり、ほんの3,4年前は2800円くらいだった。去年のゴールデンウイーク(まさにこの時期は金の買い場だった)の頃は3900円くらい、去年の年末は4500円くらい、そして現在は4900円の値段である。

 10年ほど前は1500円くらいだった。紆余曲折を経ながら(当然モノの値段は上がったり下がったりする)、ゴールドは長期的なトレンドでは上昇を続けてきた。


 これはドル崩壊とリンクした全世界的な現象なのだ。前世紀までは争うようにして金を売却していた、各国の政府、中央銀行も現在ではせっせと金を購入している。


 そしてこの流れは、クライマックス(大天井)どころか、道半ばであると言えるのだ。