東日本大震災、および福島第一原発の事故から、すでに一年以上の月日が経過しているが、原発事故がどのように収束するのか、福島がどのように復興するのかが、まったく見えてこない。

 これはなぜだろう?まず、第一にきちんとした情報が公開されていないこと。そして誰もが当事者として取り組まないことだ。

 起きたしまったことは、起きてしまったこととして、なぜ次の歩みができないのか?

 日本人、および日本の社会はこれほどまでに劣化してしまったのか?

 発展途上国ではあるまいし、一年以上も経過して現在のような状況は酷すぎる。ダメならダメ、復興なら復興。早く明確な行動を示さない政治は、もはや機能停止状況だと思う。


 私は調べてみた。原爆を投下された広島市がどのように復興を遂げたのか。私の旧知の友人(現在は広島市で手広く学習塾を経営している)の祖父は、誰も寄って来なかった広島市の不動産を、戦後間もなく買い占めて大成功をおさめた。


 昭和20年8月   原爆投下、都市壊滅

       10月   科学者である仁科氏、荒勝氏らがすぐに現地調査開始

 昭和21年1月   広島復興局設立

        4月   広島復興都市計画策定

             都市ガス供給開始

        6月   水道普及率70%達成

       12月   人口15万人に回復


 これを見てどのように考えるか。戦後の悲惨な状況であるのにもかかわらず、このように逞しく広島市は復興を成し遂げたのだ。これこそが日本人の原点ではないか。

 なぜ、現在の日本はこのように進まないのか。私は悲しくなる。


 放射能があるから、先に進まない。それはわかる。しかしダメならダメできちんと方向を示すのが政府の役割ではないだろうか。

 私も放射能は怖い。放射能と共存共栄などできはしない。しかし、客観的な現状がどの程度なのかわからないのでは何も進まない。当たり前のことだ。


 この世の中、安全と危険は常に一体だ。完全な安全な世界などはないし、完全に危険な世界などもない。人の営みなど、そのようなものだ。


 人体に悪影響を及ぼす放射線は嫌だが、放射線がまったくない世界なども考えられない。

 みんなが中学生の頃に学んだように、最初のノーベル賞を受賞した科学者は、1901年にX線の存在を発見したW・レントゲン博士だ。

 彼の発見した放射線技術がなしえた、現代医療における貢献については、誰も疑問を呈する者はいないだろう。