「カルタゴ興亡史」(ある国家の一生)   松谷健二著   白水社



 カルタゴの歴史をわかりやすく書いた一冊。ローマとのポエニ戦争、ハンニバルの活躍など、みなさんにお馴染みな史実が、カルタゴという国家の成立経過から描かれている。


 よく戦後の日本をカルタゴになぞられて言説される評論があるが、カルタゴの歴史を見ると、このような対比は少し違うような気がする。

 たぶん現代の日本もカルタゴも、対外貿易によって繁栄した経済大国であり、軍備を他に頼っていた(ローマが自国軍であるのに対してカルタゴは傭兵軍が主力だった)ことをもって、そのような類似を指摘されるのであろうが、その文化性や国民意識には大きな差があると思う。