ピグについて。前回のブログでピグについて書いたが、その続編である。このゲームの中で提示されるクエストは、その時々でイベントのように次々と順次示されていく。だからゲーム参加者はこれらを時間を追って次々と取り組まなければならない。


そしてイベントは絶え間なく続いていくので、ゲーム参加者は追い立てられるようにゲームにのめりこんでいく。その過程において、運営会社側は課金を促して利益を得ていくというシステムが確立している。実にうまいシステムと言える。

 そして一つのイベントが終わり、新しいイベントがスタートすれば、前にあったイベントのことや、そこで獲得したアイテムなどはすばやく忘れ去られていくのである。

 一時は貴重なものとして認識されていたゲーム上のアイテムは、単なるガラクタのようなものに風化してしまう。中には特別な思い入れをもって存在するものもあるだろうが、しょせんはバーチャルなゲーム上の世界でのものだから、風化する速度も早いものだ。


 しかし、しかしだ。考えてみればゲームに参加するのも自由、イベントに夢中になって取り組むのも自由、すべてが参加者の自由なのである。誰に強制されているわけではない。そしてイベントのクエストをクリアーしなければ、もう二度とこのピグというゲームに参加できないわけではない。

 ただ、そのように普通に割り切っては考えられない心理がミソということになる。誰でもいったんコミットメントしたことからは、なかなか簡単に離脱できないものなのだ。これはこのゲームに限らず私たちの日常生活の全般に当てはまることだ。


 ある時期に思い入れたものや事柄が、時間の経過とともに自分にとってはどうでもよくなることは、誰もがよく経験することだ。

 それにしても、バーチャルな世界においても、このような人間心理が強く作用するとは不思議なものだ。いや、バーチャルな世界であるからこそ、そのような心理状態のわなにはまりやすいのであろう。