前回の「若い女性が電車内で助けを求める」という話。(前回のブログを参照)


 正解は、何かを訴える時には、漠然と周囲に呼びかけるのではなく、必ず特定の人を限定して呼びかけることが必要だという法則。

 緊急に助けを求める時でも、「誰か助けてください」ではなくて「そこの青いシャツの人、助けてください」と呼びかけなくてはいけない。

 あらゆる局面において、多くの人々は主体的に当事者にはなりにくい。だから心ならずとも傍観者となってしまうのだ。「あえて自分がかかわらなくても、誰かしらが対処するだろう」という心境のもとで事態を傍観してしまう。悪気があるなしではなくて、それが一般的な人間心理なのだ。

 秋葉原大量殺傷事件だって、誰もが傍観者的な心理状況に陥ってしまったから、あれだけの悲惨な事態をまねいたともいえる。凶悪犯人とはいえ、プロレスラーのような屈強な男だったわけではないし、ライフルや自動小銃を持っていたわけではない。凶器はたかだかナイフ程度のものなのだ。

 現場に居合わせた誰かが適切に対応して、取り押さえることも可能ではなかったのか。しかしこれがなかなか難しいことなのだ。


 これは暴漢に襲われた場合だけでなく、交通事故などでの緊急対応の場合でも同様だ。だから、もし君がそのような状況に出くわしたら、「そこの人、救急車をよんでください、そこの人、心拍再生をしてください、そこの人、輸血のための血液型を集めてください」と、それぞれ具体的な指示を出した方が良い。


 そして緊急事態だけでなく、これは普段の日常業務でも当てはまる。会合などでも、誰が店を決めて予約するのか、誰が連絡網を回すのか、だれが記録を付けるのか、それぞれに具体的に示しておかないと、結局どこかで抜け落ちが生じてきたりする。


 「指示を出すコミュニケーションは、具体的な個人へ」、これが鉄則である。