飲食店を中心に「ダメだ」と私が判断することについて書いているが、だんだんと内容が主観的になってきているのがわかる。ならば、ここで思い切り主観的なことを書いていこう。前回までは主にチェーン店のおかしさについて指摘してきたが、今回は個人でやっているお店についてだ。


 私が一番嫌うお店について話したい。とにかく「こだわりのお店」「頑固おやじのお店」というやつが、私はもっとも嫌いだ。たとえどんなに美味しい料理を出そうとも、私は大嫌いだ。


 高級寿司屋や和食割烹などにありがちな、美味しいと評判だが店主がやたらと気難しいというお店だ。「俺がお奨めの料理を黙って食べないのか」とか「この店にはこの店なりのしきたりがある」とか「気に入らないのなら出ていけ」とか、小うるさいことをとやかく強要するお店には絶対に行きたくない。

 その手のお店は常連に愛されていたりして、そこでの食通のコミュニティーで盛り上がったりしているのが常なのだが、私は御免こうむる。

 確かに、このようなこだわりを持って客に対して高圧的なお店の姿勢を、粋で通好みの素晴らしいお店だと感じる人々が存在するのもわかるし、そのような人々を否定しようとも思わない。ただ単に私は嫌なのだ。


 たとえ本当に美味しい料理を味わえたとしても、気兼ねしながら萎縮して食事をするのでは、たまったものではない。最高の料理を窮屈に食するのならば、自宅でくつろぎながらホットドックでも食べていた方がよっぽどマシである。


 この手のお店に遭遇した時は、私は即座に退散するようにしている。精神衛生上悪いことは、即座に避けるべきだ。