前回に引き続いて「リスク」について考えてみたい。リスクを最小限に食い止めるための方法は、常にリスクを意識しているということにつきる。

 思いがけない危機に襲われることがリスクの本質とするならば、この「思いがけない」という部分を軽減させていくことが大切である。

 慢心こそ、最大の敵である。まあ大丈夫だろうの気持ちの緩みがある時にこそ、人はとんでもない危機にさらされたりするものだ。

 常に「現状に問題はないか」「自分の状況は大丈夫であろうか」と振り返るだけの、精神の手堅さが求められる。これは弱気ではない、私に言わせれば「健全なる危機感」だ。そして物事がうまく進んでいる時にこそ、大切にしなければならない心がけだ。


 ゴルゴ13の中に、ゴルゴの語る名言がある。不死身の天才ゴルゴに、ある若者が問いかける。「あなたはどのようにして様々な危機を乗り越えで、困難な目的を達成できるのか?」と。

 ゴルゴは答える。「私が現在まで生き延びてきたのは、私が限りなく臆病な男だからだ、だからあらゆる場面において、細心の注意を払うし警戒を怠らないからだ」と。

 なかなかの名言だ。ゴルゴは臆病な心の持ち主はない。まさに健全なる危機感を忘れぬ、強靭なる男なのだ。