午後からは朝からの晴天からうって変って風が強く、何やら天候悪化の気配あり。ここは家に戻って読書でしょう。といことで今日の書物のコーナーです。



「他人を見下す若者たち」  速水敏彦著  講談社現代新書


 最近の若者はなぜか根拠のない全能感を持っていて、自分と異質な他者を見下す傾向にある。この点について実証的に著わした一冊。

 人を意味なく見下そうが、自己中心的な自信に溢れていようが、現実社会はそんな若者に対して甘くはない。いずれは挫折していくのだろうが、こんな若者の精神状況を生み出した最大の原拠は、やはり「教育の歪み」、とくに「ゆとり教育」のもとに進められた偽善的な学校社会だろう。

 教育について関心のある人には、ぜひとも読んでほしい一冊。



「モラル・ハラスメント」  マリーフランス・イルゴイエンヌ著  紀伊國屋書店

 

 1998年に刊行されて世界13か国でベストセラーになった家族心理学者の著書。言葉や態度で人の心を傷つけるという精神的な暴力について、様々なケースを取り上げて分析している。

 支配と被支配の関係性について、特に夫婦や家族にみられる行動パターンが心理学的に分析されていてとても興味深い。

 「セクハラ」「パワハラ」よりも、こちらの方が繊細で巧妙かもしれない。「セクハラ」なんて、「パワハラ」なんてもっとそうだが、そもそもが双方の共有関係から生じるものと言えるのだから。