最近よく読んでいる恩田陸の作品の中でも、特に面白いと思ったものを一つ紹介します。


「月の裏側」  恩田陸  幻冬舎文庫

 ある日突然、人が消えてしまうという、よくあるような失踪モノのミステリーかと思いきや、以外に奥深いテーマを扱っている。展開を追うように、スムーズに一読することができる作品だ。


「幼年期の頃」  アーサー・C・クラーク  ハヤカワ文庫

 SF作品の古典的な名作。上記の「月の裏側」と同様のテーマを扱っているが、こちらの方はさらに深淵なる領域に物語が展開していく。

 また部分部分の記述、イメージの描写が素晴らしく、独創的であり観念的な作品の世界を受け止めるための一助になっている。



 「ひとつはすべて、すべてはひとつ」、または「個は全体、全体は個」という、私たちの歴史、さらには神話的な世界に突き刺さった矢、その大いなる謎に迫る壮大なテーマが、作品から垣間見られる。