午後から雨が降ってきた。しかも雷が強く叫ぶ。こんな時間はマーラーの「大地の歌」「交響曲第6番」でも聴きながら、静かに落ち着いて書を読もう。今日は以下の2冊。



「ユング自伝」(上下巻)  C・G・ユング、ヤッフェ編  みすず書房

 言わずも知れた心理学者ユングの自伝である。自らを語ることの少なかった彼の自伝は、その死後1962年に刊行された。

 幼年時代、師フロイトとの決別、北アフリカへの旅と続くが、何といっても圧巻なのは「幻像」(ヴィジョン)と題された章だ。彼が晩年(1944年)に心筋梗塞を患い、生死の境をさまよった時に、夢の中で体験する幻像が描かれている。

 そこでの宇宙から眺める地球の描写には驚かされる。私たちが現在あたりまえのように映像として目にする地球の姿が、その色彩から質感まで、ここまで詳細にリアルに表現されているとは。

 当然、彼がこの幻像を体験した当時は、世界中の誰もが宇宙空間から眺めた地球の姿など知るよしもなかったのだ。ガガーリンの有名な言葉「地球は青かった」が報じられる以前のことである。



「へなちょこ探検隊」(屋久島へ行ってきました)  銀色夏生  幻冬舎文庫

 ひとつ前の「緑が眩しい」を読んだ人が薦めてくれた文庫本。内容的にはよくある旅行記だが、そこに挿入されている写真が美しい。

 私も、いつか屋久島に出かけてみたくなった。