本日は一日、雨天であり、少し体調がすぐれないので、読書をしていた。たまには知的インプットを行わないといけない。今日読んだ3冊は以下の通り。


「経済大国興亡史」 C・P/キンドルバーガー著 岩波書店

 経済的な繁栄を極めた国々の歴史的な変遷を、わかりやすく著わした秀作。特にオランダとイギリスの部分が面白かった。経済とは、富とは、本質的な問題を考えさせられた。


「トラウマへの探求」 キッシャー・カルース編 作品社

 これはトラウマという心理学的なテーマを扱っている著作だが、広島の問題に言及するバタイユの言説なり、アウシュビッツの証言なりの哲学的な問題も内包する傑作と思われる。


「カスパー・ハウザー」 A・v・フォイエルバッハ 福武文庫

 今まで学生時代から、何度ともなく再読した作品だ。これについては、まさに文庫本の帯に書いてある書評をそのまま表現したい。「1828年、精霊降誕祭のさなか、奇妙な野良着姿の少年がニュルンベルグの町に忽然と現れた。歩くのもままならず、満足に話すこともできない。その特異な言動は様々なな憶測をよぶ。「近代刑法学の父」が生涯最後に遺した、謎に満ちた観察記録は、ヨーロッパ中の関心を引き起こし、今日まで2000以上の文献を生んだ。


 年齢とともに、人は衰退する。肉体的な面を言えば当然だろう。私も常に感じている残酷な事実だ。しかし知的な面、精神的な面はどうか。まだまだ人は成長するのだ。

 プラトンの精神的な頂点は、80歳で「法律」を著わす前、60歳代中頃の「テアイテトス]「パルメ二デス」を著わした頃だろう。「魂は肉体を必要としない」というプラトンの言葉はとても重い。