最近、そこそこ人気の(そこそこ稼いでいる)お笑いタレントの親が生活保護費を不正受給していたというニュースが話題になっている。

 わずかなお金を不正にせしめるという、人間性の意地汚さを指摘する以前に、家族について考えさせられた。そもそも、当人は家族同士という認識があったのだろうか。そもそも、別の世帯、別のものであるとの認識があったのではないか。

 そうでなければ、実の親のプライドを無視してまで金に執着するような、意地汚い子だと言うことか。それとも社会の規範自体を心底信じていない、生粋のアナーキー気質の人なのか。とてもそこまでは考えられない。


 若いスタッフの幾人に、この問題についての感想を聞いてみた。多くの者は、このような不正に対しては厳しく対応するべきという至極当然の意見を口にしていたが、その中で一人、「確かに悪いことだとは思いますが、本人は本人、親は親で別じゃないですか」という意見があった。

 そうか、本人と親は別か、それならば、それはそもそも家族じゃないのではないか。ここまで家族というものが、人々の意識レベルで崩壊してしまったのか。恐ろしくも、悲しくなる。

 

 だいたい、家族は家族だから、家族なのだ。良いも悪いもない。

 お互いに迷惑もかけあうし、ある部分では支えあうものだ。そこには理由などない。子供はいつでも親に迷惑をかける。そして時には親だって子供に迷惑をかけるものだ。

 当然、信頼や愛だけじゃなく、汚い部分もある。軽蔑もあるし、憎しみだってあるかもしれない。しかし、それらをすべてひっくるめて家族(ファミリー)というもんじゃないのか。


 「わたしの負のトラウマは家族です」、とか言う連中が多くなっているが、そこまでに人々はひ弱になってしまったのか。そこまで家族は崩壊しているのか。

 実の家族でさえそうなのだから、他者に対しての思いなど問題外だろう。これが現代日本の病理でなくてなんであろう。


 関係ないことだが、スライ&ザ・ファミリー・ストーンの名曲に「Family Affair」という曲がある。その歌詞の中に「It is just family affair」という部分がある、邦訳すると「まぁ、うちわの問題さ」という感じか。