先日からスタートした埼玉県志木市の市議会議員選挙で、候補者の演説中のフレーズに「これからの政治は単に税金の分配ということだけではなく、将来を見据えたビジョンを持ったオピニオンリーダーとしての政治家が求められている云々」というものがあったが、誠にその通りだと思う。


 現在の政治は、国政も地方政治もどれもこれも「分配」「分配」「分配」、その議論ばかりだ。

 昨今流行りの世代間格差の議論なども、その最たるものだろう。

 これでは物事が息詰まるのも無理もない。第一にきちんと公正に分配しようにも、その分配するお金に窮しているのであるから。そのへんの認識はきちんとあるのだろうか。


 税と社会保障の一体改革も大切だけれど、その前に将来に向けた発展のビジョンがなければ、単に小さくなる一方のパイの奪い合いに終わってしまうだけだ。いくら公正に分配ができたとしても、小さなパイの分け前などたかが知れているし、そもそも夢がなくケチくさいではないか。


 世代間格差を訴える若手の政治家が語る「僕たちはこんなにも上の世代の連中に比べて損をしています」なんて言葉、これからの社会を切り開き、新しい時代を担う者として恥ずかしくないのだろうか。

 完全に負けの発想だ。生活に疲れた不満分子じゃあるまいし。切実に分配の不公平を叫ばなければならないほどには、私たちの社会は貧しくはない。単に欲ボケしているのだろうか。

 もっと明るくたくましく、「多少の損も結構、これからさらに素晴らしい未来が私たちにはあります、そのために頑張っていくのですから」と堂々と語ってほしいものだ。


 現在の日本に求められていることは、「分配」ではなく「発展」だ。これは厳然たる真実だ。