前回、自然エネルギーの比率を拡大するためには、どうしたらよいかの話を書いた。自然エネルギーの比率を増やすことについては、誰もが賛成することであるし、世の中の流れもおおむねその方向に進んでいる。時間の経過とともに、少しずつは自然エネルギーの比率は拡大するであろう。

 しかし、もっと大幅に改善するためには、という話をしたい。実はいたって単純な議論なのだ。

 多くの予算を投入して、自然エネルギーのための設備を構えるよりも、いたって簡単な方法がある。


 「自然エネルギーの割合の拡大」とは、原子力や火力などの既存エネルギーの減少ということである。それならば、エネルギー消費全体を減らしていけば、当然のことだが、その中での自然エネルギーの割合は拡大していくはずだ。つまりは、社会全体が省エネを推進していくことが、一番の近道といえよう。


 エネルギー全体の消費を減らす。無駄なエネルギーを使わない。シンプルな生活を心がけるということだ。


 省エネというと、エコ家電を購入するとか、こまめに待機電力をカットするとかが思い浮かびやすいが、実は、もっと、もっと単純な話ではないのだろうか。

 毎日の生活自体に潜む様々な無駄をなくすのが一番だ。「無意味な会合はやめる」「だらだらと遅くまで飲み歩かない」「必要のないものは買わない」「夜更かしはしない」「1,2階ならエレベーターを使わずに階段を昇る」などなど、自然のリズムにそったシンプルな生活こそが、自分にとっても、社会にとっても、地球にとっても、大切だと思う。


 これこそが都市部に暮らす私たちが、「エネルギーの自然化」に向けて貢献できる最大のポイントではないだろうか。

 私たちの日常生活には、あまりにも無駄が多すぎる。しかも一定の意味や趣きのある無駄ではなく、本当に価値のない無駄だらけだ。エネルギー問題を難しく考える前に、もっとシンプルに生きてみよう。