何回かこのブログの中で、大江健三郎のことを書いていたのだが、「あなたは大江健三郎のたいそうなファンですね」との言葉をもらった。しかして、私は大江健三郎のファンではない。むしろあまり好きな作家ではない。

 中上健次なども、その範疇に入るのだが、どこか左翼的(文学に右翼的も左翼的もないのが、その考えや視点のよって立つものが)で、女性的で、生活くさく土着的な、彼らが大切にするイメージ、その描く世界については、はっきりいって嫌いだ。

 暗い、そして湿っている。しかも煮詰まっている。同じように、たとえ重く、煮詰まっていても、三島由紀夫の世界は大好きだ。好き嫌いの問題、そして私自身のアイデンティティーの問題でもある。


 しかし、しかしだ。好き嫌いと作品の良し悪しとは別ものだ。ある作家の書くもの、すべてが嫌だということはあるまい。優れた作品は、優れた作品なのだ。最近のまったくくだらない新人の芥川賞受賞作品などよりも、何段の素晴らしい作品であると思う。

 マクドナルドも同じ。私はファーストフードやコンビニ弁当は嫌いだが、たまにはマックのポテトやフィレオフィッシュを無性に食べてくなるものだ。