明日から新宿区議会の予算特別委員会がスタートする。私も前回に引き続きメンバーなので、最近は総括質疑で何をしゃべろうかと考えている。いつものように経済政策について一発かまそうかとも思ったが、所詮は地方自治体での議論では詮無いものなので、今回は違ったテーマでいこうと思う。


 今朝、雨で街頭活動が休止だったこともあり、9時の寄り付きの出来高などを確認しながら、テレビを見ていると、国会中継で衆議院予算委員会の質疑をしていた。民主党の何たらという若い議員が質疑を始めた。


 質問者:「現在、日本経済はデフレの状況にありますが、その原因は何だと考えますか?」

 野田総理:「バブル崩壊以降の資産デフレから企業や個人が脱却できていない状況での、民間部門における決定的な需要不足が原因と思われます。云々。」

 質問者:「総理は少し難しい言葉を使われましたが、要するに需給ギャップの存在が、企業および消費者のマインドを冷やしていることが大きな問題なのではないでしょうか。云々。」


 いったい、何を当たり前なことを議論しているのだろう。いくら与党の質問とはいえ、あまりにもひどい、ひど過ぎる。この後、質問は続き、今度は古川大臣が答弁していたが、その一つ一つがとてもバカバカしい議論なので、10分ほどでテレビを消して、シャワーを浴びた。


 そもそも需給ギャップとかいうが、大きな供給力が存在すること自体は悪いことではない。問題は、それに見合った需要がないことなのだ。しかも、民間部門にはお金が余っているというのに。

 金持ち(これは、個人でも企業でもいいが、民間部門の方、行政部門の方は国も地方も借金だらけで貧乏)が、きちんと金を使わないから、お金が回転していかず、長らくデフレに陥っているのだ。こんなことは誰で知っていることだ。

 それでは、なぜ、金持ちが金を使わないのか?将来、特に少子高齢化社会という将来に不安があるからだろうか。よくそのように言説されるが、そんなことはない、大きな間違いだ。単に使いたいと思わないからだ。

 つまり人は充分な満足感を得られることには消費行動を起こすし、充分な利潤が見込まれることには投資行動を起こすものだ。つまり、満足感がないから金を使わないし、それだから商売が儲からない、投資もしない、という単純な話というわけだ。もっとわかりやすく言えば、金を出してまで欲しいものはないし、だから物が売れずに、商売に投資もしたくない。これだけの話だ。

 だいたい、一国の首相が高級ホテルのバーでお酒を飲んだからといって、「庶民感覚とズレている」と非難轟々という国で、いったい誰が喜んでお金を使うというのだろうか。金持ちには、誰はばかることなくドンドンとお金を使っていただきたい。それが全体の経済的な利益になるのだから。


 私の知り合いの、とある金持ちと、上記のような点について議論をした時のことである。彼はこう話していた。「本当に欲しいものなんて何もないな、まあ現在受験勉強中の息子が裏口入学とかではなく、正式な寄付金入学という制度で早慶あたりに入学できるのならば、何千万円でも使っていいけどね。」

 このようなお金の使い方(数千万円の寄付金を支払って一流大学に入学させる)については、当然のことながら賛否両論がおこるところであるが、これこそが「本当に満足感のあるお金の使い方」なのかもしれない。くだらないエコカー減税やエコ家電減税ではなくて、このような斬新な視点も大切なのではないか。