5月28日(日)、溜めていたお仕事もひと段落つき、家内とminakoに子役として出演していた娘と共に美奈子.さんの墓前にガーベラとひまわりの花を手向け、舞台閉幕のご報告が出来た事で、ようやく私のこの挑戦は終わりを迎えました。

 

この企画が私のところへ舞い込んで来たのは2015年の年末。

コメディーを得意としている私が本田美奈子.さんの生涯を描く作品なんて書けるのか疑心暗鬼から始まったのですが、この時の正直な感覚をminakoの劇中のもう一人の主人公、作家野島周平のストーリーの根幹にしてしまったのだから、つまりこの作品は結果、創作部分はほとんどなかったと言う事になるんです。。ですが我が家は野島家ほどギスギスな関係ではありません。

それと周平ほど荒くれ作家でもありません、私は。

話を戻しましょう。

 

 

過去に数々の演劇作品を書いて来た私ですが、この【minako-太陽になった歌姫-】はこれまでのそれとは明らかに違いました。いなたい表現だけど『数奇』に満ちていた挑戦と言う感じでしょうか。あー表現がいなたい。

それがこれまでのとは明らかに違ったです。

 

 

1985年。つくば万博会場で放送されていたTBSの歌番組で、バックダンサーとして出演していた私は、当時歌のゲストでやって来ていた本田美奈子.さんと共演し、後にオールナイトフジと言うレギュラー番組で美奈子.さんと共演。また都内の某学園祭では私が所属していたダンスチームが美奈子.さんのライブの前座をやったりと案外お仕事を一緒にしていました。実のところ私自身、今回改めて美奈子.さんを勉強する上でYouTubeを見ていたら偶然共演してる映像を数本発見し『どわッ、この時一緒だったのか』と。

美奈子.さん、ごめんなさいね・・・。正直言うと、覚えてません。

学園祭での美奈子.さんのエピソードはminakoオフィシャルHPの方で紹介してるのでご覧ください。そして23年後の2008年。あるご縁があり総合監修でもあり、美奈子.さんの芸能界での育ての親でもある高杉さんは私の舞台を幾度となくご覧になられておられました。そして2015年の年末のオファーに繋がります。この挑戦をやるべきかどうか、まだ明白な答えを出せずにいた2016年5月。アンジュルム「九位一体」田村芽実卒業スペシャルコンサートの演出をやらせて頂き、ソロパートを歌った田村芽実の魂の乗った歌声が脳裏に強く焼きつき、その夏、いよいよ主演候補を推薦する段階で私は迷う事なく本田美奈子.役に作者推薦と言う形で田村芽実を提案させて頂こうと意気込んで高杉さんの元へ行くも、私より先に高杉さんの口から田村芽実の名前が飛び出したのですから、驚きますよね。

高杉さんはめいめいが美奈子.さんのファンだって事をご存知だったようで、方や情けない話、この直前まで私はその事を全く知らなかったのです。

とまあ、点在していた点がアレヨアレヨと線となり、この作品は動き出したのです。これまでとは明らかに違う『数奇』な導きに満ちたminakoは、32年の宿命の糸を辿りながらようやく必然的に2017年、全ての糸が一本に結ばれた。

そんな風に思うのです。

 

 

 

演劇集団を離れ、私にとって独立後初めての作品がこの【minako-太陽になった歌姫-】でした。千穐楽で頂いたトリプルカテコ、全席スタンディングオベーション。初めての光景は全キャストの仕事、全スタッフさんのお仕事、ご観劇下さった皆様の愛情の賜物です。心から感謝します。また観劇後、多くの方から身に余る有り難い評価を頂きましたが、同時に厳しい評価も頂きました。その厳しい評価すらも今の私に必要な要素、これからのモチベーション、気づきとなりました。本当に有難うございました。残念ながら即日完売によりご覧頂けなかった皆さんには是非DVDで本作をお楽しみ頂けたら幸甚です。7月17日(月)は試写会ではありますが、山野ホールでもう一度minakoが上演される事を嬉しく思います。せっかくトークセッション、本作が出来上がるまでのプロセスなど、製作秘話など三倍楽しめる【minako-太陽になった歌姫-】に出来れば良いなと思っています。

 

 

さて私の次回作はまだ確定していませんが、打ちたくてうずうずしている事は確かです。その前にこの夏は過酷な映画祭にあえて挑戦してみようかとも計画しています。お知り合いの皆様、この夏私から突然前置き無しに電話が行ったら着信拒否しないで下さい。

 

 

最後になりますが、minakoに出演した娘は千穐楽が過ぎた今でも「命をあげよう」を所構わず絶唱しています。そしてママに「うるさい!」と怒られています。

我が家のminakoの千穐楽はもう少し先のようです。

 

スタッフの皆様。

キャストの皆様。

オーディションに参加してくれた皆様。

観客の皆様。

そして高杉敬二(株式会社BMI)様。

本田美奈子.様。

心から本当に有難う御座いました。

 

 

2017年5月30日 野沢トオル