まずはベニバラ兎団11作目『ラ・ヌーヴォーキャバレーカルチェラタン!1950』

にお越し下さった皆様、誠に有り難う御座いました。

いやはや個人的には体力的にも精神的にも大変だったあ~。

まま、そんなこんなで暫くブログの更新出来ずすいませんでした。。。


作者としては最後までカット部分を苦悩し続けましたが

本当にどこも切りどころが無く

あとはお客様の心の広さに委ねるしかなかったのです。

そんなこんなで自信の作品の中でも初の2時間20分超えの作品に。

お尻を痛くされたゲストの皆様、大変申し訳ありませんでした。


振り返るとベニバラ兎団に入団して、本作で9作目だった訳ですが

どれもこれも楽に書けてしまった作品などなく

毎度毎度、「俺、やっぱ才能無いんだわ・・・」

「いやいや、案外やれる男かも!?」その繰り返しの中で

絞り出す様に書いております。


さてあとがきですからなんでも正直に話したいと思うんですね。

再演は作者(ボク)にとって新作より楽だったか?

答え×

今だから言いますが、再演だから新作書くより楽だ、と思ってたんです。

当たり前です、だって既にもうストーリーはあって

いつも苦労する【起承転結】が出来上がってるんですから。



それがそうじゃなかったんですね。

既に完成している作品を一度解体しなければならなかったのです。

聞いてなかったな~、知らなかったな~、予想してなかったな~。

これは案外と勇気のいる作業です。

だったもうそこに完成品があるのにわざわざ一度崩すんですから。

崩して手を加えて再度組み立てたら最悪な事にならないか?

もう恐怖ですね。

なにゆえ解体する?

新役があるからです。

隙間に別シーンでポイと放り込む訳には行きません。

全てを一度解体し、物語の全体を一度細分化し

どこに新役のエピソードを入れれば問題が起きないか?不合理にならないか?

伏線は何処に入れるが最適なのか?

更に前作で何が分かり難かったのか?

どうすればもっと伝わったのか?

物語の大河の水が滑らかに

ノッキングがかからないように進行する為に

分解作業が必要になると言う訳です。

ま~思い起こすだけでも胃が痛くなってくるのでくらいにしましょう。

再演による加筆、修正は不安と葛藤の交錯祭りです。

もう個人的に再演は、これで打ち止めだと思います。

しかし誤解の無いように言っておきますが

本作は明らかに旧作のカルチェラタンを超えたと自負しております。

そしてどこも手を抜く事無く、最高の再演作品になり

カルチェラタンと言う作品はこれで完結、終わりなのです。

これ以上も、これ以下もないのす。



演出としてのあとがき。

細かい事を言うのをやめた。

これが今回のボクの演出だったと思います。

あ、言葉が乱暴ですかね。

投げやりになった訳ではないのです。

伸び伸びとやって貰いたい。そうしたかったのです。

結果、劇団員達は自信で色々な問題を解決する為の努力をし

日々進化した演技を繰り出してくれました。

上手く行く事もあれば行かない事もあったと思いますがそれも経験。

「生きた演技」「生きた台詞」「生きた動き」「生きたカゲ芝居」
「生きた照明」「生きた音響」「生きた客入れBGM」「生きた間」
「生きたテンポ」

演出のスタイルは時と場合によって変化しても

この「生きた◯◯」が演出の全てで、これ以上も以下もないのです。



俳優としてのあとがき。

いつまで俳優を続けるのか?

思う所もあったけど、観に来て下さった関係者の方に

『トオルは役者が一番好きなんだね』と言われ

「そうだな、俺はやっぱ俳優業が好きなんだな。
と言うよりこれやる為に生まれて来たようなもんだし、
俺からこれとったら何もないもんな・・・」

なんて改めて気付かされたのでした。

ふと思った・・・16才で劇団に入り演劇を始めた。

おや、来年30周年。

こんな長く演劇と縁があるとは思わなんだ。

それだけ素晴らしい世界なんだな。

私にとっての天職は『俳優業』。

これ以上でも以下でもない。


私を舞台に立たせてくれたベニバラ兎団の主宰に心から感謝。

私の作品に真っ向から向き合って演じてくれた劇団員に有り難う。

客演の皆様、お力添え頂き、本当に有り難う御座いました。

そしていつも応援下さってる酔狂なファンの皆様が

紛れも無く我々の熱き原動力になっております!

心から感謝致します。



『車田左吉』
熱くて感情を剥き出しにするこの役を演じて
少しこの男が羨ましかった。
気付かされた事も沢山あった。
恐ろしい程、うちの親父の若い時にソックリだ・・・。

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~追記~
・喜一の妹役の英子ちゃん。この役名は私のお袋の名前。
・近藤昇は熊本の幼なじみの『米村』先輩が精神的モデルになっている。
運動会の時に弁当を持たせたと言うエピソードは事実。
ちなみに私の実家が食堂をやっていたと言うのも事実である。
・英子が劇中で持って来る書簡に書いてあった喜一と英子の家の住所を『鎌倉市』
にしたのは、私の母親が鎌倉の人だったからである。
・ラストシーンで新しい新支配人『永井古風』が「ボンソワール!ムシュー」と現れたが、
あの後、再び冒頭の祖父と孫の藍子のシーンに戻る予定だったが、2日前にカットされた。
・初日前に行われたゲネプロで、車田左吉役の私は、暗転中の移動で舞台から落ちた。
怪我は無し。長い役者生活で初の出来事だった。
・2日目の公演で私は小机素子に英子さんを紹介する時『社長の妹さんで』と紹介するところを
『社長の娘さんで』で紹介してしまい、随分歳が近い親子だなと一部の方を混乱させてしまった。