2018年2月18日に東京荻窪で開催されました、ゲームインパクト主催の「ゲームインパクト学園in東京」では、会場S席をご購入の10名様限定特典として、3曲入りの非売品アイドル八犬伝FMシンセサイザーアレンジCDを制作しました。
今回は、いよいよ商品版アイドル八犬伝FMシンセサイザーアレンジの制作です。
非売品バージョンでは3曲入りとなってますけど、そのうち1曲が3曲メドレーになってますので、この段階で、既に5曲揃っている事になります。
そこで、依頼元のゲームインパクト様と相談しまして、あと6曲を追加制作して、合計11曲を収録することになりました。
さて、追加制作した6曲についてですが、選曲は依頼元のゲームインパクト様からのリクエストで5曲、そして私のリクエストで1曲です。
どれも短い曲ですので、1曲を2~3日で完成するペースで、3月中旬から作り始めておりましたが、1曲だけ1週間掛かってしまいました。
なかなか計画通りには行かないものですね(^^;
そして、先に制作した非売品バージョンで収録した3曲も、再度演奏データを修正して、3曲メドレーだった曲も、改めて1曲ずつに分離しました。
結局、締め切りの4月末まで掛かってしまいましたけど、何とか11曲揃いまして、最後の1週間は、レコーディング作業でした。
非売品バージョンとの差別化を図る為に、商品版バージョンは、使用するFMシンセサイザーならびにPCMリズムマシンを変更する事にしました。
まず、メロディーのパートを演奏するFMシンセサイザーを変更しました。
非売品バージョンではYAMAHA FMシンセサイザー「DX7」を使っておりましたが、商品版バージョンではYAMAHA FMシンセサイザー「DX21」を使いました。
実は今回、「DX21」で試したい機能がありまして、実験的に投入しました。
「DX21」には、音色に厚みを加えるコーラスのパラメーターが独自に追加されておりまして、音声をステレオ接続することで、音に広がりをもたらします。
一般に、コーラス効果を作るのには、右音声用と左音声用の2つのチャンネルを用意して、左右の周波数を微妙にずらす事で作る事が出来るのですが、コーラス効果と引き換えに、同時に2音使ってしまいます。
しかしこの「DX21」のコーラス効果は、音声出力回路でコーラス効果を作っているので、1音のままでコーラス効果を加える事が出来ます。
商品版バージョンでは、このコーラス効果を加えて、レコーディングしました。
次に、PCMリズムマシンも変更しました。
非売品バージョンではYAMAHA PCMリズムマシン「RX11」を使っておりましたが、商品版バージョンではYAMAHA PCMリズムマシン「RX21」と「RX8」を使いました。
FMシンセサイザーが「DX21」なので、ドラムも「RX21」に揃えようかと言う単純な理由もあるのですが、「RX21」は独特のローファイサウンドと噂されていた機種でもあります。
「RX21」の量子化ビット数は、「RX11」と同じ12BITなんだけど、どれくらいローファイなのか?知りたいではないですか。
と言う事で、「RX21」も実験的に投入してみました。
実際に使ってみますと、なるほど、ローファイサウンドの意味が分かりました。
「RX21」は一応「RX11」の音色を継承しているのですが、搭載ROMの容量の都合(RX11の1/3)なのか、1音1音の波形が短い事と、実際の音質も「RX11」よりも荒いですね。
これは間違いなく、YAMAHAのリズムマシンの中でも、最もローファイなリズムマシンだと思います。
で、暫くはローファイサウンドに喜びながら、ドラムデータをいじっていたのですが・・・
「あれ?おかしい・・・ライドシンバルの音色が無いぞ!」
説明書を確認すると、絶句。
何とこの「RX21」、ドラムの音色が9個しかない(笑)
つまり、本体に付いているパッドボタンの数しか音色が無いのです。
「RX15」の廉価版とは聞いていたけど、ここまで音色が省かれているとは、思ってませんでした。
まあ、「RX21」のスペックを、ちゃんと調べていない私が悪いのですけどね(笑)
更に分かったのが、カウベルの音色も有りませんでした(泣)
仕方ないので、急きょ、YAMAHA PCMリズムマシン「RX8」を足して、ライドシンバルとカウベルを「RX8」で演奏させる事にしました。
そんなドタバタがありましたけど、無事にドラムパートをレコーディングしました。
物的違いは以上ですけど、更に見えないところで、非売品と商品版には違いがあります。
それはズバリ、音場感です。
レコーディング機材は、非売品バージョンと商品版バージョン共に、KORGマルチトラックレコーダー「D3200」を使っております。
同じ機材を使っていながら、音場感の違いを言葉で表すと、非売品バージョンは音が平たいのに対して、商品版バージョンは音がふくよかです。
たぶん、曲の中に空気感が有るか無いかの違いかと思います。
これは、レコーディング後の波形編集の方法を変えております。
実は空気感の正体は、ノイズなんです。
非売品バージョンでは、ノイズをバッサリとカットしてます。
しかし商品版バージョンは、ノイズをそのまま残してます。
その結果、波形編集する部分が、曲の先端と末端だけになりました。
この空気感が、アナログ録音でしか得られない隠し味なんですね♪
あ、もちろんエフェクターも使ってますので、ノイズと言う下地にエフェクトを乗せる感じで、ふくよかな音場感になっていると思います。
パソコンのDAW環境でも、このような空気感を、プラグインVSTとかで人工的に作る事も出来るかもしれませんけど、私の音楽制作環境ですと、80年代当時の機材を使ってますので、本物の80年代の自然な空気感を取り込む事が出来るのです。
そんな80年代の音が詰まった「アイドル八犬伝FMシンセサイザーアレンジ」。
完成したマスター音源を、依頼元のゲームインパクト様に納品しました。
納品は、万が一のトラブルを考えて、インターネットを使って音声ファイルを送る方法と合わせて、CD-Rに書き込んだマスター音源ディスクを3枚作って、郵送で送りました。
マスター音源の納品後は、ジャケットに印刷するライナーノーツを作成しました。
実際に使用した機材の型式や、制作で苦労した事など、アイドル八犬伝の音楽と関わった2017年10月から2918年4月までの流れを紹介しております。
やっぱり、全て実機のFMシンセサイザーやPCMリズムマシンを使っているところがポイントですので、シンセサイザーやMIDI機器が好きな人にも、楽しめる内容になっております。
ま、こちらは実際に手に取られた方のお楽しみと言う事で(笑)
完成した「アイドル八犬伝ホエホエとらっくすFMシンセサイザーアレンジ」は、2018年5月20日に発売開始されます。
それまでは、発売PRをTwitterで呟いて行きますので、お楽しみに♪
2018年5月13日追記
「アイドル八犬伝ホエホエとらっくすFMシンセサイザーアレンジ」のジャケットが完成しました。
表面は、こちらです♪
こちらが裏面です♪
ジャケットデザイナーは、ファミコン版「アイドル八犬伝」の背景デザインを担当された、日高トモキチさんです。
日高さんは、背景デザイン以外にも、ゲーム中に登場するキャラクター「手鞠のみかちゃん」もデザインされておりまして、今回のアルバムジャケットには、その「手鞠のみかちゃん」がメインで描かれております。
このデザインを制作するにあたり、手描きで制作されたとの事です。
ファミコン版「アイドル八犬伝」も1988年発売ですし、私の音楽機材も80年代の機種を使って制作しておりますし、日高さんのデザイン画も80年代の手法で描かれておりまして、まさに80年代が詰め込まれた作品となっております。
それから、「アイドル八犬伝ホエホエとらっくすFMシンセサイザーアレンジ」のPR動画も撮影しました。
こちらです♪
どうですか!?
80年代のSEGAのアーケードゲームのサウンドを、実際にYAMAHA FMシンセサイザー「DX21」(上段)で鳴らしております。
途中から、YAMAHA FMシンセサイザー「DX7」の鍵盤で演奏しておりますが、「DX7」の鍵盤を使って、YAMAHA FM音源モジュール「TX81Z」を鳴らしております。
80年代のSEGAアーケードゲームのFM音源は、OPN系FM音源チップ「YM2203」と、OPM系FM音源チップ「YM2151」が使われております。
アーケードゲームで使われたFM音源の音色パラメーターさえ分かってしまえば、私の使うOPP系FM音源チップ「YM2164」を搭載した「DX21」や、OPZ系FM音源チップ「YM2414」を搭載した「TX81Z」でも鳴らす事が出来るのです。
やっぱり、音を出しながら紹介したほうが、説得力あるかな?と思い、ちょっと試してみました。
今後も、FMシンセサイザーの演奏動画を撮って、世界にアピールして行きたいと思っております♪
PS:
このブログは、たくさんの人に読んでもらえるように、にほんブログ村 シンセサイザー、にほんブログ村 DTM・MIDIに参加してます♪