
「SPX90」は、1985年に発売された機種でして、2016年現在から遡ると、30年前の機材になります。
私の手元に届いた機材を確認しますと・・・
電源を入れますと、ディスプレイには「LOW BATTERY」と表示されます。

「LOW BATTERY」と表示されますと、内蔵されているメモリーバックアップ用バッテリーが消耗しており、本体にデータを保存出来なくなります。
「LOW BATTERY」と表示されても、内蔵ROMに記録されているプリセットのエフェクトは使えます。
しかし、エディットしたデータに関しては、内蔵RAMに保存出来なくなりますので、電源を切ると、データも消えてしまいます。
せっかくのデジタルエフェクターなのですから、エディットしたデータを保存出来ませんと、デジタルであるメリットが無くなってしまいます。
やっぱり、快適に使うには、バックアップ用バッテリーを交換してあげたいものです。
そこで、内蔵バッテリーを交換するのですが・・・
内蔵バッテリーには、コイン電池「CR2032」が使われております。
YAMAHA製の電子楽器機材の場合、このコイン電池「CR2032」が、基板にガッチリ!と半田付けされております。

画像のように、コイン電池が半田付けされている為、コイン電池を交換をするには、わざわざ修理センターに持ち込まなくてはならなく、しかも有料修理です。
内蔵バッテリーの寿命は、メーカーでは5~7年と言われておりますが、電源コンセントを差し込んで置くと、内蔵バッテリーの消耗を遅らせる事が出来ますので、10年以上に伸びる場合もあります。
それでも、メーカーが交換してくれている内は、まだ良かったのですが、2016年現在では、部品保有年数切れを理由に、メーカーでも交換してくれません。
しかし、諦めてはいけません。
ネットで調べますと、自己責任を了承した上での、内蔵バッテリーの交換方法が見付かります。
内蔵バッテリーの交換には、2種類の方法があります。
1つは、同じ半田付けタイプの「CR2032」で交換する方法です。
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純正仕様を好む人や、他の部分が故障するまで使う人向けの方法です。
もう1つは、コイン電池ホルダーに変換してから、市販の「CR2032」に交換する方法です。
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電池ホルダーにして置くと、次回のコイン電池の交換が簡単になります。
改造が好きな人や、他の部分が故障しても、自分で修理出来るほどの、使い続ける熱意のある人向けの方法です。
私はこの、コイン電池ホルダーに変換する方法で、交換方法を紹介しようと思います。
まず、メモリーバックアップ用内臓バッテリーの移設先を決めます。
今回は、電源基板と制御基板の境にある金属フレームのネジ穴を利用して、「コイン電池ホルダー基板」を固定する事にしました。

ちなみに、このネジ穴は、4Mサイズです。
次に、コイン電池ホルダーをユニバーサル基板に取付した「コイン電池ホルダー基板」を作ります。
左隣にある水色のコンデンサに接触しない程に、ユニバーサル基板をカットします。
私はいつも「コイン電池ホルダー基板」を作る時には、Sunhayatoの「ICB-90」を使っております。

これ、とても便利で、真ん中からパキッ!とカット出来ますので、必要な分だけ使う事が出来ます。
通常ですと、この「ICB-90」1枚で「コイン電池ホルダー基板」を2個作れます(^^)
今回は、移設先のスペースの関係で、更に半分カットしております。
ケーブルは、内臓バッテリーが基板に半田付されている場所から「コイン電池ホルダー基板」の移設先まで、遠回しで計りますと、およそ60cmになりました。
ケーブルを60cmにカットしてから、「コイン電池ホルダー基板」に半田付けします。
私はいつも、ケーブルの色は、あまり統一性が無く、「自分が分かっていれば、いいや・・・」と言う感じで、その時その時で適当にやってしまうのですが、電子機器の分野では、プラス(+)は白色、マイナス(-)は黒色に統一すると良いでしょう。

そして、私がいつも使っているケーブルは、電子機器の内部配線用の耐熱絶縁ビニル電線で、単線の0.32mmを使っております。
今までも、数多くのYAMAHA製電子楽器機器の、メモリーバックアップ用内蔵バッテリーの移設をやってきましたが、この0.32mmの太さが、一番扱い易いと思いました。
作った「コイン電池ホルダー基板」は、こちらになります。
じゃん♪

コイン電池ホルダーにケーブルを繋いだだけの簡単な作りです。
ちなみに、基板に余白を作っているのは、後に、液晶ディスプレイを交換する時に、可変抵抗器を取付出来るように、空けております。
さて次は、制御基板から、消耗したメモリーバックアップ用内蔵バッテリーを取外します。
制御基板と繋がっている配線とネジを外して、制御基板を本体から取り出します。
メモリーバックアップ用内蔵バッテリーの位置は、制御基板の右下です。

作業し易いテーブルの上で、半田ごてと半田吸い取り器・半田吸い取り線を使って、古くなった内蔵バッテリーを取外します。
今回は、簡単に取れました。


外したバッテリーは、見た目はキレイなのですが、テスターで電圧を測ったら、ほぼ0Vでした(笑)
完全に放電し切っておりました。
南ぁ~無ぅ~~♪
さて、古い内蔵バッテリーが外れたところで、ここからは復旧作業となります。
内蔵バッテリーを外した跡を利用して、「コイン電池ホルダー基板」のケーブルを、極性を間違えないように、半田付けします。

ケーブルの半田付けが終わると、後は、制御基板を元に戻して、「コイン電池ホルダー基板」を金属フレームに固定します。
「コイン電池ホルダー基板」を固定するネジは、4Mサイズの10mmを使うと、丁度良いです。
最後に、コイン電池「CR2032」をセットして、完了です。

4Mネジでガッチリ固定されているので、脱落の心配はありません。
電源基板側に丁度良いスペースがあって、キレイに移設出来たと思います。
次回の電池交換は、何年後になるか分かりませんが・・・
次回からは、本体ケースを外すだけで、簡単に電池交換が出来ます。
続いて、本体の初期化を行います。
やり方は、[FOOT TRIGGER] と[BALANCE]を押しながら、電源を入れます。
これで、初期化が完了します。
「LOW BATTERY」の表示も消えて、通常の表示になり、すっかり元通りになりました♪

液晶ディスプレイも、30年経過している割には、光量が落ちてませんので、しばらくは大丈夫でしょう。
これで、ジャンク品だった「SPX90」も、完全復活です!
こうして、自分で修理出来る事で、80年代の電子楽器機材も、まだまだ現役で使えます。
80年代のシンセサイザーや電子楽器機器には、現代の主流であるソフトウェアシンセには無い、デジアナ感があると思います。
デジタルシンセサイザーなんだけど、D/A変換+エフェクターを経由される事で、空気感を含んだアナログっぽいサウンドになります。
今回のYAMAHAマルチエフェクター「SPX90」の場合、アナログ変換された周波数特性が、20Hz~12kHzとなっております。
つまり、エフェクト処理された音質が、少しだけ高域が抑えられる事で、アナログっぽくなるのだと思います。
パソコンを使ったソフトウェアシンセの高音質に飽きちゃった人や、ソフトウェアシンセでは再現出来ない空気感を加えたい人には、80年代のエフェクターを使って、レコーディングするのも良いと思います。
実際に私も、既に所有している機材ですが、YAMAHAマルチエフェクター「SPX990」を使って、FMシンセサイザーのサウンドを「エフェクトかけ録り」で、レコーディングしております。

「SPX990」は、1993年に発売された機種になりまして、私の音楽制作システム「NOZ SYSTEM」には欠かせないエフェクターとなっております。
今回の「SPX90」は、1985年に発売された機種ですので、1984年のYAMAHA音楽制作システムを再現した「YAMAHA X SYSTEM」に加える予定です。

実は、もう1台、80年代サウンドには欠かせない、名機と呼ばれる程のエフェクターを入手出来ました。
こちらも、コンディションを確認した後にメンテナンスしてから、「NOZ SYSTEM」に加えるか?「YAMAHA X SYSTEM」に加えるか?を、決めたいと思います。
何だか、5月~6月に駆けて、エフェクター強化期間になりそうです♪
PS:
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