(文中の赤字の部分は、2017年1月9日に修正、追記した部分となります。)
私の使っているメインのシンセサイザーは、YAMAHAの「EOS B200」です。
「EOS」は「Entertainment Operating System」を略した呼び名でして、「イオス」と読みます。
この、丸っこい個性的なデザインにスピーカーが内蔵されているのが特徴で、女性的なシルエットを感じさせるシンセサイザーです。
まあ実際に、電子楽器の分野に、女性を取り込みたいというYAMAHAの販売戦略もあり、「女の子も使えるシンセサイザー」というコンセプトで、簡単な操作で電子楽器を楽しめる、初心者向けのシンセサイザーでありました。
私がこのシンセサイザーに決めた理由は、90年の当時にレンタルビデオで、TMネットワークのライブビデオを借りて観たのがキッカケで、小室哲哉さんが4台の「EOS B200」を使いこなして、格好良く弾いているのに、とても興味を持ちました。
また、「EOS B200」の音源方式は「FM音源」でして、YAMAHAのOPZ系FM音源チップ「YM2414」が搭載されております。
「YM2414」は、楽器用FM音源として開発された、4オペレーター方式の集大成的なFM音源チップとなります。
それまでは私も、富士通パソコン「FM77AV」に搭載されておりましたOPN系FM音源「YM2203」と、NECパソコン「PC8801FA」に搭載されておりましたOPNA系FM音源「YM2608」を使って、MML(ミュージック・マクロ・ランゲージ)で音楽をプログラミングしておりました。
そして「EOS B200」には、10,000音符入力できる「シーケンサー」が内蔵されておりましたので、鍵盤が弾けなくても、シーケンサーで音楽が作れることも魅力でした。
そんな流れで、私自身も、パソコン用4オペレーターFM音源でのプログラミングから、楽器用4オペレーターFM音源でのステップレコーディングへと、スムーズにシフト出来たかと思います。
そんな4オペレーター方式の中でも、最上位のFM音源を搭載した「EOS B200」でありますが・・・
実は、音色エディットを直感的かつ簡単にする為に「イージーエディット」という機能が採用されております。
解かりやすく言いますと、本体のプリセット音色を呼び出して、間接エディットするという感じです。
難しいと言われてるFM音源の音色エディットが、とても簡単になっております。
しかし、このFM音源の音色エディットを簡略化するために、止むを得ず犠牲になってしまった機能があります。
それは、ゼロ(正弦波)の状態から音色を作ることが出来ないということです。
つまり、元となる音色があってこそ、イージーエディットが活きるという訳です。
悪く言うと、「EOS B200」単体では細かいエディットが出来ないという事です。
イージーエディットを持ってしても、思った音色や、求めてる音色に到達できなくて、ユーザーは欲求不満になってしまいます。
まあそこが、FM音源の音色作りの難しさなんですけどね(^^;
そこで、「EOS B200」本体のプリセット音色では物足りなくなってしまったユーザー向けに、音色を追加するボイスROMカードが発売されました。
EOS YS100/YS200/B200用のボイスROMカードは、以下の7種類が発売されました。
RCD101「TRADITIONAL EDITION」
RCD102「CONTEMPORARY EDITION」
RCD103「EUROPEAN EDITION」
RCD1000「TETSUYA KOMURO」
RCD2000「TETSUYA KOMURO VOL.2 Dijitalian is eating Breakfast.」
RCD3000「TETSUYA KOMURO VOL.3 History 1」
RCD4000「TETSUYA KOMURO VOL.4 History 2」
RCD101・RCD102・RCD103は、EOS YS100/YS200/B200の拡張音色として発売されました。
RCD1000・RCD2000・RCD3000・RCD4000は、小室哲哉のソロアルバムと「TM NETWORK」の楽曲で使われている音色をシミュレートしたもので、このボイスカードを装着すれば、「EOS B200」を使って、TM NETWORKを再現することが可能になります。
再現度を高める為には、別途リズムマシンを使う必要もありましたけどね。
特にこの小室哲哉ボイスカードの発売によって、「EOS B200」に「楽しむ」要素が加わったかと思います。
その後に、TM NETWORKがゲスト審査として話題になった「EOSコンテスト」が開催されるようになり、EOSシリーズが盛り上がっていくキッカケとなりました。
そして、小室哲哉さん自身でも、90年発刊されたEOS特集BOOK「K's MAGAZINE」の企画で、TM NETWORKの「Get Wild」を、「EOS B200」とリズムマシンを使って新しい曲にした「Get Wild・Renewal」を制作され、完成曲を付録CDに収録。
実際に、ドラム以外は、全て「EOS B200」の音色でして、EOS YS100/YS200/B200用ボイスカードVOL.3「RCD3000」の中から選んで、曲を作られております。
こうして小室さんが実際に「EOS B200」の可能性を示してくれたことで、EOSを使うユーザーの目標になる訳です。
私も当時、この付録CDの「Get Wild Renewal」を聴いて、追加でYAMAHAのリズムマシン「RX8」を買っちゃいましたよ(笑)
リズムマシンを導入してから、「EOS B200」のシーケンスメモリー10,000音を、ドラム以外のパートに割り振ることができるようになったので、5分くらいの長い曲を打ち込めるようになりました。
それでも、情報量を節約しながら打ち込むことになりましたけどね(^^;
さてここで、私の所有しているボイスROMカードを紹介しましょう。
私の所有するボイスROMカードは、VOL.1(RCD1000)、VOL.2(RCD2000)、VOL.3(RCD3000)、VOL.4(RCD4000)です。
まずはVOL.1となる「EOS VOICE CARD TETSUYA KOMURO RCD1000」です。
このボイスカードには、TM NETWORKの楽曲で使用されている音色を、EOS YS100/YS200/B200/TQ5に搭載のFM音源「YM2414」でシミュレートした100音色と、デモンストレーションデータ「COME ON EVERYBODY」が記録されております。
音色データ作成は、迫田 到(さこた いたる)さんが90音色と、デモンストレーションデータとデモ演奏用10音色は浅倉 大介(あさくら だいすけ)さんが担当されております。
リズムパートも、FM音源のドラムで作られておりますので、シーケンサーが内蔵されている「EOS YS200」と「EOS B200」、並びにモジュール型の「TQ5」で演奏が可能です。
続いて、VOL.2となる「EOS VOICE CARD TETSUYA KOMURO RCD2000」です。
このボイスカードには、小室哲哉さんのソロ楽曲で使用されている音色を、EOS YS100/YS200/B200/TQ5に搭載のOPZ系FM音源チップ「YM2414」でシミュレートした100音色と、デモンストレーションデータ「CHRISTMAS CHORUS」が記録されております。
音色データ作成は久保こーじさんと浅倉大介さん、デモンストレーションデータ作成は浅倉大介さんが担当されております。
100音色の内訳は、小室哲哉のソロアルバム「Digitalian eating Breakfast」の楽曲から86音色と、EOS用拡張音色として4音色、EOS用拡張効果音として10音色となっております。
「CHRISTMAS CHORUS」のシーケンスデータの8トラック目には、YAMAHAのリズムマシン「RX8」用のドラムデータも記録されておりまして、「RX8」を追加したデモ演奏が可能となっております。
そして、VOL.3となる「EOS VOICE CARD TETSUYA KOMURO RCD3000」です。
このボイスカードには、TM NETWORKの楽曲で使用されている音色を、EOS YS100/YS200/B200/TQ5に搭載のOPZ系FM音源チップ「YM2414」でシミュレートした100音色と、デモンストレーションデータ「RAINBOW RAINBOW」と、TM初期の楽曲からショートフレーズ・データ7曲が記録されております。
全音色データとデモンストレーションデータ作成は、浅倉大介さんが担当されております。
100音色の内訳は、TM初期の楽曲から81音色と、EOS用の拡張音色として16音色、EOS用の拡張効果音として3音色となっております。
7曲のショートフレーズは、「TWINKLE NIGHT」「YOUR SONG」「1974」「GIVE YOU A BEAT」「CONFESSION」「ALL-RIGHT ALL-NIGHT」「SELF CONTROL」のイントロ部分を再現したものとなります。
記録されているシーケンスデータの8トラック目には、YAMAHAのリズムマシン「RX8」用のドラムデータが記録されておりますので、「RX8」を追加したデモ演奏が可能となっております。
最後に、VOL.4となる「EOS VOICE CARD TETSUYA KOMURO RCD4000」です。
このボイスカードには、TM NETWORKの楽曲で使用されている音色を、EOS YS100/YS200/B200/TQ5に搭載のOPZ系FM音源チップ「YM2414」でシミュレートした100音色と、デモンストレーションデータ「A DAY IN THE GIRL'S LIFE」と、ショートフレーズ・データ5曲が記録されております。
こちらも、音色データとデモンストレーションデータ作成は、浅倉大介さんが担当されております。
100音色の内訳は、TM後期の楽曲から86音色と、映画「天と地と」の「炎」から6音色、EOS用の拡張音色として7音色となっております。
5曲のショートフレーズ・データは、TM後期の楽曲から「CHILDREN OF THE NEW CENTURY」、「HUMAN SYSTEM」、「COME ON EVERYBODY(With NILE RODGERS)」の4曲と、「天と地と」より「炎」が記録されております。
記録されているシーケンスデータの8トラック目には、YAMAHAのリズムマシン「RX8」用のドラムデータが記録されておりますので、「RX8」を追加したデモ演奏が可能となっております。
ちなみに、実際に「EOS B200」と「RX8」を使って演奏されたショートフレーズ集は、EOS特集BOOK「K's MAGAZINE」の付録CDにも収録されておりますので、こちらでも聴くことができます。
更に、VOL.2とVOL.3とVOL.4の解説書には、「RX8」の各ドラムのノートナンバーが記載されておりますので、その気になれば、他のリズム音源で、ドラムパートのノートナンバーを自在に変更できる機種であれば、「RX8」と同じノートナンバーに設定することで、8トラック目のデータを演奏させることも可能です。
この8トラック目のデータを、眠らせておくのは勿体無いです。
そこで、私の手持ちの機材を使って、このデモンストレーションデータの8トラック目に記録されている、YAMAHAリズムマシン「RX8」用のデータを鳴らす方法を紹介します。
まず、私の2台目のシンセサイザーYAMAHA「V50」に内蔵のリズムマシンが使えます。
「V50」にはFM音源以外にも、PCM音源のパーカッションが61音色内蔵されております。
「V50」のリズムアサインの設定が「PRESET1」になっていれば、リズムマシン「RX8」と互換性があるので、EOS B200と「V50」をMIDIケーブルで接続して、EOS B200のリズムデータだけを「V50」に内蔵のリズムマシンで受信できるようにすることで、「RX8」のドラムデータを演奏させることが出来ます。
具体的には、「V50」のリズムマシンのMIDI受信CHを「8CH」にして、シンセサイザー(FM音源)のMIDI受信CHは1~8CH以外の9~16CH(例として16CH)にしておけば、シンセサイザー側に入り込んでくる不要なデータを全てシャットアウトできますので、「V50」からはリズムマシンだけが鳴るという訳です。
但し、「V50」の61音色でドラムパートが正常に演奏出来るのはVOL.2「RCD2000」とVOL.3「RCD3000」です。
VOL.4「RCD4000」に関して、スネアドラムだけは61音色以外を使っている為、スネアドラムだけが鳴りませんので、悪しからず。
なので、別の方法として、AKAIのサンプラー「S6000V2」を使って、ボイスカードの解説書を参考にしながら「RX8」のドラムマップを作ることができます。
サンプラーは、自分でカスタマイズするDTM音源みたいなものです。
サンプラーですと、サンプリング素材を使って、自在に音色を設定することができるので、いろんなドラムの音色を試してみることができます。
他にも、私が使っているパソコンのDAWソフト「CUBASE STUDIO 4」でも、新規にドラムマップを作成することが出来ますので、ドラムのパートだけ、DAWソフトのプラグインシンセを使って演奏させることも出来ますよ♪
2014年現在ですと、ハードウェアのリズムマシンを使っている人は少ないでしょうから、ソフトウェア音源でドラムを再現するのが現実的でしょうかね(^^;
紹介しました4枚のEOS YS100/YS200/B200用ボイスROMカードを持ってるだけでも、かなりの音色ライブラリーとなります。
個人的に凄いと思う音色は、VOL.1の88番「COME-HIT」と、VOL.3の19番「Yo OrcheHit」、VOL.4の86番「Dont Orch」などの「オーケストラヒット」をシミュレートした音色です。
4オペレーターのFM音源で、よく再現されているかと思います。
PCM音源のオーケストラヒットですと、実際の音をサンプリングしてますので「いかにも」という感じがしますので、普通のオケヒに飽きた時に、FMシンセサイザーで作られたヒット音も、個性的で新鮮な感じがして、インパクトがあると思います。
あと、VOL.4の92番「Hon Timpani」も、FM音源と思わせない、とてもリアルなティンパニーです。
他にも即使える素晴らしい音色がたくさんありますので、私もFM音源の音色作りに困った時は、これらのボイスカードから音色を呼び出して、使っております。
「EOS B200」ですと、ボイスカードを差し込むカードスロットは、鍵盤の下にあります。
こんな感じで、かなり奥までカードが入っていきますので、カードが本体から出っ張らないようになっております。
この音色カードは、EOSシリーズのYS100、YS200、B200、TQ5で使えますけど、OPZ系FM音源チップ「YM2414」が搭載されているFMシンセサイザーであれば、互換性がありますので、使える幅が更に広がります。
具体的には、「YM2414」が搭載されている、YAMAHAの「V2」と「TX81Z」でも互換性があります。
しかし「V2」と「TX81Z」には、ボイスROMカードスロットが無いので、ボイスカードをセットした「EOS B200」や
そして、「EOS B200」の「イージーエディット」機能でエディットできない部分を、「V2」や「TX81Z」で追加エディットして、「EOS B200」に送り戻すといった使い方も可能です。
また、OPZ系FM音源チップ「YM2414」の上位バージョンになるOPZⅡFM音源チップ「YM2424」を搭載した「V50」でも、9割ほど互換性があります。
残りの1割に相当する、効果音系の音色などでFIXモードを使っている音色に関しては、他のFMシンセサイザーと比較して、少し鳴り方が変わってしまう音色もあります。
「YM2424」(OPZⅡ)は、「YM2414」(OPZ)2個分の性能がありまして、4オペレータータイプのFM音源では最強の16音同時発音のFM音源チップとなります。
「V50」は、FM音源シンセサイザーとPCM音源リズムマシンが一体になった、オールインワン型のシンセサイザーで、2014年現在でも人気のあるシンセサイザーです。
「V50」には、ボイスROMカードスロットがありますので、そのまま差し込んで使えます。
私の使っているFMシンセサイザーは、「EOS B200」と「V50」と「TX81Z」と、全てOPZ系FM音源ですので、このボイスカードがあると、あちこちで使えます(笑)
FM音源の音色作りは、初心者にとっては難解なしくみになってるのと、LCDディスプレイが小さいので、エディット作業がやりにくいこともあり、なかなか使いこなせないものでした。
今回紹介したような拡張音色カードは、本当にTM Networkになれるような、初心者でも「その気」にさせる、素晴らしい商品だったと思います。
自分の使っているFMシンセサイザーに関連商品が充実していると、いつまでも使っていけると思います。
私も今日まで「EOS B200」を使い続けてこられたのも、他の異なる音源方式のシンセサイザーとMIDI(”ミディ”と読む)で接続できる拡張性があったからこそです。
本体に内蔵のFM音源では苦手なピアノやエレキギター、ドラムを、別のPCM音源シンセサイザーでカバーしたり・・・
パソコンの32ビット化で普及したDTM(デスクトップミュージック)用のマルチティンバー音源を「EOS B200」の鍵盤とホイールでコントロールしたり・・・
時代が変わり、世の中がすっかりPCM音源一色になった現代で、FM音源の”つんざく”音色が、楽曲の中で際立つのです。
なので、今回紹介しましたEOS YS100/YS200/B200用ボイスカードは、私の中では、まだまだ現役です♪
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