珍しく義兄が返って来た時、旦那としばらく話していた。私はすでに自室に引きこもっていたので、次の日何があったんかと聞くと、旦那が「いつものことや」と教えてくれた。

 

義兄はシェフで、たぶん腕もそこそこいい。社交的なので、友だちも多(そう)。なのに、義兄はちょくちょく職場を変えている。今回も今の職場とちょっと揉めているそう。

 

旦那によると、イギリスでは固定給となると、特に残業代などは出ず、契約時間の中で仕事を終わらせることが要求される。もし、それが難しい場合は会社が人員を増やして仕事が回るようにしなければならないそうだ。

 

もちろん残業する人もいるが、それに対して対価や評価を求めるべきではないというのが旦那の自論で、契約以上のことをする時は、「楽しいから」や「見返りがあるから」といった場合はいいが、そうでない超過労働の場合は「会社に対するボランティア」と思った方がいいと旦那は言う。そうでなければ、だんだん「こんなに働いてるのに!」という思いが膨らんでくるからだそうだ。

 

一方義兄は、契約以上の時間を働いている。たぶん義兄の性格上メニュー作りやいろいろな仕事を同僚と分けるのが苦手なのだろうと思う。よく言えば、自分の仕事はきっちり終えるという点で責任感が強いと言えなくもないが、悪く言えば、自分の仕事に他の人の手が加わることをよしとしない性格とも言える。

 

そして何より、義兄は自分の仕事ぶりに自信をもっているようで、「なぜこんなに会社に貢献しているのに、給料がこれだけしかもらえないのだ」と考えてしまうようだ。そして、さすがザ・俺様の義兄はその疑問や要求を上司にぶつけるそうなのだが、会社からしたら「いや、それは自分か勝手にやってるだけやん」となるので、お互いに歩み寄れず、結果義兄は職場を変わるを繰り返している。

 

この話を聞いた時、正直分業できるかどうかは職種にもよるかなと思うが、分業できないなら、そこを会社とまず交渉すればいいのにと思った。

 

まぁ、なんやかんやとすぐに次の職場が見つかるあたり、やはり義兄は社交的で料理の腕はいいのだろう。