10 Stories/甲斐よしひろ
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甲斐よしひろは永遠の「HERO」だ。

愛し、懐かし、恨めし、甲斐バンドである。


話は一気に27年前に飛ぶ。

僕は、中三で、高校受験が間近であった。

集中して勉強しなければならない時期に、ヤンキー系の隣の兄ちゃんの部屋から大音量で聞こえてくる「HERO」。永遠に続くのではないかと思えるリピート。今思うに、シングルレコード(知ってるかな?)のリピートモードだったのだろう。


ミトコンドリアや、中臣鎌足を覚えなければならないのに「HERO、ヒーローになる時~、あーはー、それは今~♪」の音楽が頭の中でこだまする。かなり頭に来たが、ヤンキーに逆らうほど子供ではなかったので、我慢した。結果、第一志望と思いっきりの滑り止めを除いて、全て落ちた。第一志望に入れたから、良しとすべきなのだろうか...。


5年後、友人の家で、「HERO」のシングルレコードを見つけた。

友人は、佐賀出身。博多の予備校育ち。

甲斐バンドは博多出身なので、「よかとよ」と、九州弁で自慢していた。

良くわからない理由をつけて、彼から、レコードを譲り受け、リピート・モードで聴いた。

今度は、受験も何もない。気楽な大学生だ。

心にビンビン響いた。

今でも、歌詞はほとんど覚えている。


その甲斐よしひろがカバー・アルバムを出した。

実は、これまでもカバー物を何枚か出しているが、今回は、有名曲ばかり。

amazonのレビューでは酷評。

特に、ヘビーなファンから厳しい声が上がっている。


僕は、このアルバムが好きだ。

あえて、有名曲、新しいアーティストの曲を選んだ甲斐よしひろのチャレンジ精神が伝わってくる。

これを「イマイチ」と切り捨てても良いが、音楽を通じて世代を超えた対話をしたいという甲斐よしひろの心意気を見逃していないか!


エレカシ(エレファントカシマシ)の「今宵の月のように」がかっこいい。

まるで甲斐よしひろの曲のようだ。

「ハマミズキ」、「恋しくて」のチャレンジも評価したいが、甲斐よしひろの個性が強すぎて、曲の良さが薄れている気がする。それも、ボーカリスト甲斐よしひろが故だ。


1. 今宵の月のように

2. 歌舞伎町の女王
3. くるみ
4. ハナミズキ
5. 夜空ノムコウ
6. 接吻kiss
7. 恋しくて
8. 色彩のブルース
9. すばらしい日々
10. Swallowtail Butterfly~あいのうた~