大器晩成型中間管理職の野望 -3ページ目

ガンなんかに負けるな 12

親父の容態は先生はじめスタッフが言う限りは順調らしい。


まだ人工呼吸器を付けてはいるが


意識はどうやらはっきりしてきて


下水道の支払いの件や


孫娘の塾への送り迎えの心配などをしているらしい。


予定よりだいぶ入院生活が長くなり


寝たままの状態が続いているため


リハビリも長くかかるんじゃないのかな?


今のところはこれに慣れてしまっているが


人工呼吸器を外す日から


しばららくは呼吸器系統の痛みも伴うと


心配しているのは多分僕だけでしょう。


今日からの10月3週目に大きな動きがあるでしょう。

ガンなんかに負けるな 11

やっぱり病院のベットの上でも夢はみるようだ。


やっとの筆談で、自分が車で事故を起したことを


説明するらしい。


その事故日は10月4日。


当然、ベットの上から一歩も動けない状態。


つまりは夢なのだが、それが現実のように思えるらしい。


恐らく、これも夢だと思うけど


自分が肺がんだと思い込んでいる。


先生や看護婦が回復方向に向かっていると説明しても


弱い呼吸のため 人工呼吸器をつけていることが


そう思わせているんだろう。


寝てばかりいるから現実と夢の境界線みたいなのが


入り混じっているんだね。



それでも筆談で人工呼吸器の取れる日と


退院の日を聞いてきたらしい。


弟は、10月2週目に人工呼吸器が外れる予定と


11月に退院予定と書いて見せたらしい。


やはり仕事と同じで


目標を持たせてあげないと変な夢を


見てしまうんだろう。


楽しい夢が見られるようビデオでも持っていったら


いいのかな?

ガンなんかに負けるな 10

5日、出勤前に寄ってみる。


いつもと同じで午前中はスタッフの方が病室にいっぱい。


時々覗いては休憩室(病院では食堂と呼んでいる)に戻る。


今日は遅刻覚悟でギリギリまで粘ってみよう。


12時前 先生の回診が始まり 


何を話しているかは解からないが、大きな声で話しかけている。


終わったようなので覗いてみると


見習いさん(学生さん?)が何やらやっていたが


入ってもいいというので入ってみる。


親父の目はこちらを追っている。


以前とは違って その目に力を感じた。


先生に言われて、呼吸の練習をしているようで


300ccだったものが、350cc前後にまで上がっている。


動きづらい手を出し、何やら指をさす先には


笑っていいともなどで見かける 「何番の札を上げてください」 に、似た札。


どうやら手作りらしく、氷、めがね、足・・・などと書かれていた。


その横には五十音の書いてある、これも手作りの厚紙。


それらの札から“テレビ”をやっとの思いで選ぶ。


その傍らでは 笑っていいともがテレビで放映されていたが


見づらいのか? 音が大きいのか、小さいのか?


今度は五十音の厚紙をゆっくりと震える指先でなぞる。


“し” “と” のあたりを指差し 口も動かす。


そんなに必死に何を伝えようとしているのか?


見習いさん(学生さん?)と3人でクイズのように


こちらも必死になって思いつくものを答える。


1人の学生さん 「テレビ用のカード?」 


沈黙の後に 親父はうなずく。


そんなんかよ。 心の中でツッコミを入れる。


確かに残り1枚になっていたんで心配だったんでしょう。


2枚買って、テレビも安心。


そんな心配をしている親父にも安心。